大好きな二人との三角関係、謝ることしかできませんでした...

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元になったエピソード

高校1年生の時のエピソードです。

人生初の受験を乗り越え、第一志望の公立高校に入学することができました。

クラスの雰囲気も良く、楽しい高校生活がスタートしたのですが、委員決めのとき、クラス委員に立候補する人がいなかったため、くじ引きで決めることになりました。

すると、なぜか普段くじ運のない私がいきなりアタリを引いてしまいました。

一方男子もくじを引き始めていたのですが、青木くんが
「何か、押し付け合いみたいになるの良くないし、俺やろうかな…」と言い出し、男子のクラス委員は青木くんに決定。

『ええなぁ…私も男子に生まれたかった…』と嘆いていると、一番仲の良かったツッチーこと土屋さんが、
「シロ(←私「城田」)家の事せなあかんし、無理ちゃう?私変わってあげてもええよ」と、申し出てくれました。

母は、私が中2の時に他界したので、家事はほぼ私がやっていました。
そのため、放課後にみんなと寄り道したり、部活をすることはできませんでした。
とはいえ、自分の不運(?)を友達に肩代わりさせるのは気がひけたのですが、結局ツッチーがクラス委員を担当してくれることになりました。

先生や他の女子も納得してくれて、円満解決という感じだったのですが、やっぱり申し訳なくて、ツッチーに「ホントに大丈夫?」としつこく声をかけたところ、
「大丈夫!シロやから変わってあげたいと思ったのも本当やけど…実は私、青木のこと入学式の日からええなって思ってて…一目惚れっていうんかな。だから、一緒に委員できるのラッキーかもww」とのこと。

青木くんは、とても気さくな優しい男の子で、常に周囲からワンテンポずれるマイペースな私にもよく話しかけてくれる、クラスのムードメーカー的存在。

一方、ツッチーは姉御肌で、一緒にいると、とても居心地が良い、かっこいい女子。

そんな二人は、すごくお似合いだと思ったし、私はツッチーを、全力で応援しました。

早く二人が付き合い始めるといいなと思ったし、じきにそうなると思っていたのですが、私の予想は当たりませんでした。


ある日、ツッチーが
「無理っぽい。
 やっぱり、青木、他に好きな子おるんやて。」と言い出したのです。

「それって、彼女ってこと?」と尋ねてみると

「つきあってるとかじゃなくて、青木が一方的に好きっぽい
 相手の子は全然気づいてもないみたいやけど…」というので、

「ほんなら、まだ可能性あるやん!」と励まそうと思ったのですが

「いやぁ…無理やと思うなぁ…ww」と、ツッチーらしくもなく、弱気な返事が帰ってきました。


それから数日後の昼休み、ツッチーが席を外している時、青木くんと一番仲のいい森田くんが
「ツッチー、最近微妙に元気なくない?」と、私に話しかけてきました。

森田くんは青木くんの親友で、ツッチーが青木くんを好きなことも知っていたので、
「青木くん、他に好きな子おるんやて。誰なんやろなぁ…。」と返すと

「シロやろ」

「私?…何が??」

「マジで気づいてへんの?」

「? ??」

私は、まったく何を言われいるのか分からず、森田くんにあきれられていると、どこからともなく青木くんが現れました。


すると森田くんが青木くんに言いました。
「ごめん、言うてしもた。
 青木が好きな子、シロやって…」

それを聞いた青木くんは、奇声をあげて森田くんをどこかへ連れ去りました。

私は森田くんにからかわれたんだと思いましたが、何となく気まずくて確認できないまま、その日は帰宅しました。

そして、夜の9時頃だったでしょうか、明日の放課後少しだけ時間をつくって欲しいという連絡が青木くんから入りました。


次の日、青木くんから聞いた話では、彼は合格発表の日に私を見かけ一目惚れし、入学式で同じクラスとわかった時は「運命かと思うくらい嬉しかった」そうです。

それで、積極的に話しかけてくれたりしていたらしいのですが、V系やBLが大好きだったり、漫画ばっかり描いていた私は、彼の思っていたタイプとは全然違って「ちょっと変な子かもしれない」と思ったけど、どうにも気になって話しかけるうちに、自分の好きなものをごまかさないところや、一旦考えてから言葉を選んで話すところなど、素の状態の私を好きになってくれたとのことでした。


それは、とても嬉しい事だったのですが、私を好きになってくれる男子がいるなんて、夢にも思ってなかったし、ツッチーの気持ちを思うと、頭の中がグルグルしてしまい、その時の私には「ごめん…」としか言えませんでした。

それでも、青木くんは、
「そうやんな、急にこんなこと言われて、困るよな。
 俺もまだ言うつもりなかってんけど、バレてしもたから…ちゃんと伝えとこうと思うって。
 ごめんな、気にせんとって…って、無理かww
 でもまぁ、今まで通りに友達として仲良くしてもらえたら嬉しいかな
 クラスの雰囲気壊すのも嫌やし」
と、自分の方が辛いだろうに、その場をとりなしてくれました。


その時、青木くんに呼び出された私を、ツッチーが待っていてくれたのですが、私はツッチーに合わせる顔がなく、そこでもまた「ごめん、ほんとにごめん」と謝ることしかできませんでした。

ツッチーは、心中おだやかではなかっただろうに、
「シロ本当に全然気づいてなかったから、びっくりしたやろ。
 ホンマ森田いらんことするから、上手くいくもんも上手くいかへんやんなぁ。
 私の事は気にせんと付き合ったらええんやで。
 青木、ええ男やし。」
などと、私を励ましてくれました。


その後も、青木くんやツッチーのおかげで、それまでと変わらない楽しい高校生活が過ぎていきました。

そして、2年生からはみんなクラスがバラバラになり、自然と距離が開いて、卒業。

結局、誰の気持ちも実ることはありませんでしたが、ずっと仲の良い友達のままでいてくれたツッチーや青木くん、クラスメートだったみんなには、今も本当に感謝しています。

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written by とり乃から揚げ

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とり乃から揚げ

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