私・幸子は社会人1年生。自他ともに認める天然だ。
同い年の彼氏・純とは遠距離恋愛中。
高校の時から付き合っているから結構長い付き合いだ。
今日は純の誕生日だけど、純が風邪でダウン…。
だから私は決めたんだ。
サプライズをしてみようとね。
まずはケーキを作ってみた。
甘いものが好きな純のためにチョコレートケーキにした。
砂糖で出来たサンタさんとトナカイの人形も置いた。
用意したろうそくは、付き合って7年目なので7本用意した。
私はケーキとおかゆの材料を持って純の住むマンションに向かった。
純の家までは新幹線で1時間かかり、新幹線から降りたらバスに30分ほど乗る。
だけどバスの時間が迫っていて焦っていたせいか…階段でこけてしまった。
慌ててケーキを確認したらぐちゃぐちゃになってしまっていた。
買いなおそうにももうお店が空いている時間ではない。
申し訳ないけれど諦めるしかないと思いながらたどり着いた純のマンション。
見上げた純の部屋には電気がついていて、ベランダに女性ものの服が干してあり、あやしい影も見えた。
私「え?なんで・・・!」
慌てて階段を駆け上って合鍵で彼の部屋へと飛び込むと…
純「どうしたの!?幸子!こんな時間に!」
純が1人でお茶を飲んでいた。
仕事中なのかテーブルにはノートパソコンと資料が置いてあった。
私「あれ、1人!?」
純「1人暮らしなんだから1人でしょう?あ。今は幸子がいるから2人だけどね」
ゆるゆると言葉を紡ぐ純。
私「風邪は?」
純「ん~?治ったよ」
私「よかった~・・・」
安心したからなのか。
私はずるずると床に崩れ落ちた。
どうやら部屋を見間違っていたようだ。
失敗ばかりで泣きそうだわ。
純「幸子。それ何?」
幸子「手作りケーキだけど・・・ダメなの・・・こけちゃってぐちゃぐちゃだから」
純「でもせっかく幸子が作ってきてくれたんだ。食べよう」
私「え。純!?」
純は察してくれたのだろうか。
フォークとお皿を取ってきて食べ始めた。
純「うん。おいしいよ。幸子も食べなよ?」
ケーキが乗ったスプーンが近づいてきて、私は1口食べてみる。
自分で言うのもあれだけどケーキはおいしかった。
一生懸命食べてくれる純を見て、この人と付き合ってよかったと心底思った。
純「幸子、口元についているよ」
私「え?」
自分で取ろうとした時だった。
ふと純の顔が近づいてきて・・・口元についている生クリームをキスで取ってくれた。
そして純は耳元で囁いた。
純「誕生日は明日だよ」
と。
幸子「え、」
純「来てくれてありがとう」
私は耳まで真っ赤だったかもしれない。
純に抱きしめられてさらに体温があがっていくのがわかった。
written by 恋エピ公式
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