私には97歳と95歳の曽祖父母がいました。
二人とも去年の春と秋に亡くなりましたが、それまではひ孫の私のこともよく可愛がってくれていました。
2人は晩年まで非常に元気だったせいか、色々と面白い話がありました。
例えば、曽祖父(以下、じぃちゃん)は大の酒好きで、90歳を過ぎても1日に日本酒1合を少なくとも飲み、お昼ご飯にはカラッと揚げたカツを買いに行き(ない時は自分で作り)食べたりなど、世のご老体は食が細くなるといわれる中で、七福神の布袋さんのような立派なお腹をしていました。
また、70歳を過ぎてから始めて海外旅行へ行き、アメリカで初のジェットコースターを体験したりなど、なかなかにアクティブな晩年を過ごしてます。
一方、曽祖母(以下、ばぁちゃん)は、若い時の手術で背中の筋を痛めてしまい、腰が曲がってしまっていましたが、80歳まで車でいたるところへ買い物に出かけていました。
ちなみに、私が生まれた際(ばぁちゃん、当時72歳)も、母のいる病院まで車で来てメロンを届けに来たと言う話は今でも聞かされます。
そんな2人ですが、仲は悪かったそうです。
家にいてもお互いに口喧嘩。
顔を合わせれば、いがみ合う仲で、とても『仲良し夫婦』ではなかったそうです。
じいちゃんの方が先に耳が遠くなると、メガホン片手に
「じぃちゃーーーん、聞こえるかーーー!」
と耳元で叫んで、ケラケラ笑ってたり……
ちょっかいを出し、出されの関係だったとか。
そんな2人が出会ったきっかけというのが、テレビドラマのような話でした。
祖母(じぃちゃんばぁちゃんの娘)の話によると、
若い頃のじいちゃんが、そろそろ身を固めろと親に言われた際に、
「○○(地元の地名)の△△家に美人さんがいるってらしいから、見に行ってこい」
と親戚に言われ、見に行ってみたそうです。
しかし、その方へ行ってもなかなか△△家が見つからなかったじぃちゃんは、
たまたまそこを通りかかった女性に声をかけたそうです。
「△△家はどの辺りですか?」
「もっとずっと先だよ」
その時、じぃちゃんはもうすでに△△家の美人さんのことは頭にありませんでした。
目の前の女性に一目惚れしてしまったのです。
それが後の、ばぁちゃんだったのです。
…え、そんなことある?と半信半疑でしたが、それがあったにしろ、なかったにしろ、
娘たちは4人、孫は11人、ひ孫は20人の大家族を作った人たちです。
…一目惚れがなかったら私はいまこの世にいません!!
written by たまき
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