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忘れ物のおかげで明るい気持ち

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元になったエピソード

 私が高校1年の時のお話です。
 その日はテスト期間で、午前日課でした。私は学校が終わるとすぐに明日のテスト勉強をするために塾にいったのですが、お弁当を学校に忘れたことに気づきました。お弁当の中身が腐るので、明日までお弁当を学校に置いておくわけにもいかず、学校にお弁当を取りに帰ることにしました。
 明日のテスト勉強を早くしたかったので、私は学校の最寄り駅から学校に走っていくことにしました。
 学校の最寄り駅で電車を降りると、私は高校へ向かって全速力で走り出しました。雨の中、傘もささずに走っていたので、髪も服もびしょびしょでした。
 学校へ行く途中の坂でキツくなって走るペースを落としたそのとき、誰かが私を後ろから黒い傘に入れてくれました。
 「急いでる?」
 振り返ると、私を傘に入れてくれたのは、同じ学校の男子の先輩でした。
 「結構走ったな。頑張ったけど全然追いつけへんかった。この坂きついよな。」
 先輩は息が切れていて、駅から走って傘もささずに走っていく私を心配して追いかけてきてくれたようでした。
 それから私は学校まで先輩の傘に入れてもらいながら、先輩と進路や勉強の話をしました。私はクラスに友だちがおらず、部活以外では1人なので、テスト期間で部活がなくて、そうやって人と話すのはひさしぶりで緊張しましたが、先輩は相づちをうち、ときどき笑いながら私の話を聞いてくれました。
 学校につき、別れ際お礼を言うと、先輩は
 「テスト頑張れ!」
と言ってくれました。
 友達ができなくて、この高校を選んだのは間違いないだったのだろうかなどとよく悩んでいましたが、この優しい先輩のおかげで、この高校に来て良かったと前向きになれました。





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written by クロワッサン