初恋 ~『若菜集』より~ 島崎藤村

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元になったエピソード

☆名作恋エピ☆
著作権の切れた、恋愛にまつわる文学作品です。
青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)様より引用しております。

  初恋

まだあげめし前髪まへがみ

林檎りんごのもとに見えしとき

前にさしたる花櫛はなぐし

花ある君と思ひけり



やさしく白き手をのべて

林檎をわれにあたへしは

薄紅うすくれなゐの秋の

人こひめしはじめなり



わがこゝろなきためいきの

その髪の毛にかゝるとき

たのしき恋のさかづき

君がなさけみしかな



林檎畑のの下に

おのづからなる細道ほそみち

が踏みそめしかたみぞと

問ひたまふこそこひしけれ



底本:「藤村詩集」新潮文庫、新潮社
   1968(昭和43)年2月10日発行
   1997(平成9)年10月15日55刷
※ルビの一部を新仮名遣いとする扱いは、底本通りにしました。
入力:佐野女子高等学校2-1(H11)
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年5月8日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

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