私が知らない指輪の秘密⁉~忘れられないクリスマス その後~

コンテンツ名とURLをコピーする

元になったエピソード

大学生活最後の年、当時一緒に暮らしていた敏也は何か月も不審な外出を続けていました。
でも、彼は私の誕生日でもあるクリスマスに、小さな宝石のついた指輪をくれて、不審な外出は指輪を買うお金を貯めるために、内緒でアルバイトを増やしていたためだったことが分かりました。

お正月は2人で、お互いの実家に改めて挨拶して…
どちらの家でも険しい態度をとられたけれど、何とか卒業後も一緒に暮らすことを認めてもらい、嬉しい新年を迎えたのですが…

お正月気分も抜けたころ、彼のバンドのライブがありました。
その年最初のライブだったのですが、私は夕方から内定者懇親会があり、観に行けず、リハーサルに合わせて先に家を出た彼を見送りました。

そして自分の支度をして出かけようとしたとき、彼の忘れ物を発見。
時間に余裕があったので、届けに寄ることにしました。

”リハーサル終わった頃かな…”と思いながら覗いた楽屋にいたのは、ボーカルの晶くんだけでした。
なんでも、リハーサルは終わったけれど、楽器担当の人たちはまだリズム合わせを続けているとのこと。
また彼のドラムがもたついたのか…と思いつつ、忘れ物を渡しておいてもらおうと、彼の鞄を差し出した私の左手に指輪を見つけた晶くんは嬉しそうに言いました。

「あ!この指輪、敏也さんホンマに買わはったんや!
すごいなぁ!給料の3か月分、絶対よう貯めへんってみんなに言われてはったのになぁ!」

『給料の3か月分』

私は耳を疑いました。
いくら彼が薄給とはいえ、給料3か月分だなんて、まさか!と思い、詳しい話を聞くと

1年ほど前、彼が指輪を買いたいけど店を知らないと言うので、リーダーの楽人さんが、練習帰りに知ってる店へ連れていってくれたらしいのですが、そのとき、晶くんも時間があったのでついていったところ、そこは何だか高級っぽいお店で、店員さんから色々と話を聞いた結果…

『特別な贈り物だから、良いものを贈りたい。』

と、彼のバイト代3か月分相当の、小さいけれど、とても質のいいダイヤがついた指輪を選んだのだとか…

気持ちは嬉しいけど、ずーっと貧乏生活を送っているというのに、何を考えてるんだ、あの人は…と、まだ学生だった私には想像以上の高価な買い物に、かなりショックを受けました。


そして、その夜帰って来た彼から、

「遥香、指輪の値段聞いて青くなったって?」

と切り出され、話をしたところ、高い物だとバレると私が怒るだろうからと、鑑定書を隠していたことなども発覚し、かなり険悪な雰囲気になってしまいましたが

「隠したのとか…相談しなかったのは悪かったよ。
 ごめん。
 これからは隠さずに…えーっと、『行動する前に相談する』ようにする。
 だから、もう機嫌直して指輪してくれよ。」

と、きっと楽人さんあたりに言われたんだろうな…と思われる、彼には不自然な言い回しがありつつも、真摯に謝ってくれました。

隠し事をされたことや、指輪が高価だったことはショックだったけれど、良いものを贈りたいと思ってくれた気持ちは嬉しかったし、彼はとても反省している様子だったので、これからは本当に隠し事をせずに、やりたいことがある時は事前に相談すると約束して、仲直りしました。

ですが、私は、思っていたよりも、とても高価なものだとわかった指輪を、日常的に身に着ける気にはなれませんでした。

しかし彼は、どうしても常に身に着けて欲しかったらしく、今度は指輪を毎日つけるかつけないかで大いにもめましたが、結局、指輪は小さなお守り袋に入れて、私の財布の中で保管することになりました。

お財布に入れておけば、私が常に持っていることになるからいいでしょ、と言い負かしたのですが、彼はどうしても指につけて欲しいと言い続けたため、普段にもつけられる、お手頃でシンプルなペアリングを買いました。

ちゃんと、購入を決める前に相談して、2人それぞれ2カ月間アルバイトを増やしてお金を貯めて、一緒に買いに行ったこの指輪は、今も私の宝物のひとつです。

続きを読む

written by とり乃から揚げ

マンガ作者

とり乃から揚げ

秘密 投稿マンガ数 25

アプリデザイン、イラスト、漫画等を中心に活動するフリーのクリエイターです♪ お仕事のご相談はホームページ[https://torinoweb.work/] の”お問い合わせ”より承っております! よろしくお願いいたします♡(*´∀`*)

エピソード投稿者

とり乃から揚げ

秘密 投稿エピ 5

アプリデザイン、イラスト、漫画等を中心に活動するフリーのクリエイターです♪ お仕事のご相談はホームページ[https://torinoweb.work/] の”お問い合わせ”より承っております! よろしくお願いいたします♡(*´∀`*)