中学生の頃の話です。
中1の途中から転入してきた男の子がいました。
彼はかっこいいとすぐに学校中で話題になり、他学年の人達が彼のクラスに押し掛けるほどでした。
ですが当の本人は無口でクールなタイプで、寄ってくる子達には全く興味を示さなかったのですが、
中2の頃隣の席になり連絡先を交換したあたりから、休みの日に会うようになりました。(といってもゲームをしたり散歩したり)
夏休みの間はメールのやり取りに加えて突然電話が来て「曲作ったから聞いて欲しい!」
と言われ、彼が友達と組んでいたバンドの曲を電話越しで聞かせてもらったり。
付き合ってはいませんでしたが幸せな毎日でした。
そして中学卒業間近。
いつものように他愛もないやりとりをしていた時ふと、彼が転入してきた時の話になり、彼がかっこいいと話題になったことを思い出しました。
それ以降周りの女の子達の恋バナに出てくる事も多々あり、それを思い出したら「誰かのものになって欲しくない…」と思ったので、勇気を出して「卒業式の日、第2ボタンもらえますか?」とメールをしました。
すると「いいよ。そのつもりだった。」と言ってくれたのです。
そして卒業式も無事終わり、校舎から出ると桜の下で立っている彼の周りには女の子達がたくさんいて。
わたしは美人でもないし、第2ボタンは今度でも…と思い、ゆっくりと門に向かって歩いていたのでいたのですが、彼に呼ばれて振り返ると学ランすべてのボタンがなくなっていました。
やっぱり貰われてしまったのかと思ったら、「ん」と差し出された手の中にボタンがありました。
「え、これ」「第2ボタン。約束したでしょ」と取られないように取っておいてくれたのです。
そしてもうひとつ紙袋が差し出されました。その中には彼のジャージが入っていました。
たまに借りることがあった彼のジャージ、彼は180近かったので、160の私が着るとダボダボなのですが「そのダボダボな感じが好き」と伝えた事があったのです。
それを覚えていてくれたらしく、私にくれたのです。
そしてそのダボダボなジャージを着てる私を見るのが好きだった、と伝えてくれました。
当時も付き合ってはいませんでしたが、今もお互い別々の道を歩んでいます。
でも彼が幸せでいてくれたら、と思っています。ジャージも第2ボタンも、今でも私の宝物です。
written by 恋エピ公式
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