電車で通学していた高校1年生の頃、毎日同じ時間、同じ車両に乗る3年生の先輩がいました。
その先輩は背も高く、制服の着崩し方もかっこよく、高校生活が始まったばかりの自分にはキラキラして見えました。
その先輩がいつも同じ車両に乗るのには理由があって、それは次の駅で綺麗な彼女さんが乗ってくるから。
小さな声で喋って楽しそうに笑い合い、人が多いときには彼女さんを守るように位置を変え、彼氏さんの汗を彼女さんがさり気なく拭いてあげて…そんな美男美女カップルを毎朝拝むのが、私の日課でした(ストーカーじゃないよ!)
その年の文化祭。気になった出店があり友達たちと行くと、そこは例の彼氏さんのクラスでした。
少しほくほくしながら行ってみると、その彼氏さんが対応してくれて、私の顔を見るなり「あ、」と声を出しました。まさか…?と思っていると、彼氏さんのお友達たちが知り合い?と集まってきて「いつも電車一緒なんだよね」と笑いかけてくれました。
(まさかバレてたなんてーーーー!!!)
と恥ずかしさで真っ赤になりました。
すると、彼氏さんのお友達が「お前彼女いるのに1年生に手を出すなよー!絶対この子お前のこと好きじゃん!」とからかいはじめ、そのタイミングで彼女さんも出てきて、なんとも言えない空気に。
私は咄嗟に「違うんです…!いつも、毎朝、お二人が一緒に電車で登校するのを見て、勝手にきゅんきゅんしてたというか…」と言うと、カップルはびっくりした様子で、周りの人たちは「なんだーつまんね」と散っていきました。
気持ち悪いことを言ってしまった…と私も自分の友達と一緒に立ち去ろうとしたところで、彼女さんに引き止められ「ありがとう」と女でも惚れそうな綺麗な笑顔をいただきました。
その後は電車の中でも手を振ってもらって会釈したり、卒業式の日も在校生の中から私のことを見つけてくれて、二人とも笑ってくれました。
最近SNSでお二人が2人のお子さんと一緒に写ってる写真を見かけて、懐かしいほっこりした気持ちになりました。
written by ちろる
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