私は背が高かった。
168cmの身長と父親に似た手足の長さ。
彼は背が低かった。
低いと言うほどではないが165cm彼。
私と彼は逆身長差カップルだった。
人より背が高いことが悩みだった私はいつも猫背だった。
でも猫背にしても身長は変わらず数センチのヒールがあるローファーも私の悩みの1つだった。
彼と一緒に帰る時、私の目線の少し下にある彼の頭。
周りから冷やかされて彼が傷ついたらどうしようといつも不安で。学校から少し離れたところでいつも待ち合わせてた。
ある日、私の家に彼が来て一緒に映画鑑賞してた時。
ソファーに腰掛けた彼とその下でちょこんと背中を丸めてうずくまってた私。
ススッと背中をなぞられ悲鳴をあげれば首元に伸びてきた腕と頭の上に感じる重さ。
「なに…どうしたの?」
「んー…。背高いのカッコいいんだからちゃんと背筋伸ばして前向けよ」
何気ない一言だったでしょうが、私の心には凄く響き渡りとても嬉しくなりました。
その後。
「ねぇ、頭に顎乗せないで重い」
「いいじゃん。俺の腕の中に収まってるのなんて泣いてる時かこういう時しかないんだし」
そう言って抱きしめる腕に力がこもるのを感じながら映画が終わるまでその状態は続いたのでした。
written by みゆみ
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