それはテスト期間中で午前中に学校が終わった日。彼女と一緒に勉強することになり 彼女の家に初めて行った。お昼時だったのでコンビニに寄らなかったことを後悔していると、料理はできないと言っていた彼女が「焼きそばなら作れるかも」と作り始めた。
たくさん調味料が並んだキッチン。彼女のお母さんはきっと料理上手なんだろうな。
焼きそばの袋の裏の「作り方」を見ながら、不器用な手つきで炒める彼女を僕は笑って見ていた。
僕の家庭には母がいない。父と弟と、食事は誰かが適当に作って食べている。
家で食事といえば 面倒くさいものだった。
彼女が作ってくれた具無しの焼きそば。
きっと僕のほうが 上手に作れる。
でも一生懸命作ってくれたことが凄く嬉しくて、美味しくて。
そしていろんな思いがこみ上げてきた。
喋るとなぜか涙が出てきそうで僕は黙って食べていた。
最初は美味しくないの?と不安そうな顔で僕を見ていた彼女。
そのうち何かを察したように彼女も黙った。
そして「また作るよ!今度は具を入れて 」とニッコリ微笑みながら僕の頭をポンポンした。
written by まろお
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