私は高校の頃、卓球部のエースでした。
気が強く、負けず嫌いだったので
男子にもがんがん食い込み
ふざけてる人がいれば怒鳴るような
いわゆる嫌われ者でした。
中でも毎日怒鳴っていた相手が
一個下のやんちゃな後輩くんでした。
気に食わないのは
毎日怒鳴らなきゃいけないほどやんちゃなのに
一年生にして部内のエースだったこと。
(私は彼に次ぐ2位。それもまたむかつく。)
そんな高校2年の冬。
部活全体で県大会に進むことが出来て
ホテルで一泊することになりました。
当時私のいた卓球部の女子は少なく
その中でも同期がいなかったので
孤立してしまい
皆がはしゃいでいる中
一人でホテルの屋上にいました。
すると、後輩くんから一通のLINEが。
「先輩今どこにいます?」
え、なんで?
と素直に疑問を浮かべながらも
「屋上」
とだけ返して携帯を閉じました。
彼は人気者でした。
先輩(=私の同期)からも気に入られ
いつも中心にいる人間でした。
そんな人間でも
こんなぼっちを気にしてくれるのか、と
少し見直していた、その時。
「まーた、そんな寂しいところに」
と後ろから声が。
振り返ると、
ラフな格好をした、後輩君でした。
「は、なんで!?皆は!?」
と私は疑問をそのままぶつけました。
「いいんすよ別に。
俺は先輩に一番世話になってるし
先輩とも話したいんす」
とあまりにも真っ直ぐ言われ、
私はそれ以上は何も言えなくなりました。
夜中の3時まで話しこんだところで
翌日は男子の団体戦だったことを思い出し
全力で謝りました。
すると彼は
「先輩との思い出できて嬉しかったっす。
寝不足なんて気にしないで
俺の明日のプレー見ててくださいよ!」
と得意げに言い放ち、部屋に戻りました。
翌日、試合。
彼は本当に寝不足なんて思わせないプレーで
勝利を重ねていきました。
私も聞こえるように全力で応援しました。
するとスマッシュで決めた彼が
観客席で観ている私に目を合わせて
笑顔でガッツポーズを見せてくれたのです!
その姿に惚れてしまいました。
やんちゃなところばかりではなく
人思い、先輩思いな良い後輩でした。
written by あずみや
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