特等席だからこそ見れた彼のバスケ姿

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元になったエピソード

大学受験に恋愛は荷物になる。確かにそうかもしれない。だから受験生カップルというのは難しい。私達も大学受験を控えたカップルである。連絡は極力控え、デートもしていない。学校の廊下ですれ違った時少しドキドキとしてしまう自分。だけど友達もいるから話しかけられない。寂しい、苦しい、辛い、と心を締め付けられる。そして高校生活最後の球技大会が開かれた。部活を引退し、スポーツをしている所はしばらくとして見ていない、彼がスポーツをしているところを見れることにとてもワクワクしていた。彼のでるバスケの試合はとても人気で人が溢れていた。背の低い私は人混みにまみれ、中々彼の姿を見られなかった。歓声やボールの音は聞こえるが試合は全く見られなかった。そうこうしているうちに試合は終わってしまった。結局彼の姿を見ることは出来なかった。球技大会が終わったあと彼に「お疲れ様、バスケの試合見に行ったんだけど人が多くて中々見られなかったや、、かっこよかったんだろうな、、、」それを聞いて彼は私の手を引いて体育館に連れていった。「はい、ここ特等席」彼は私を誰もいない体育館の中央に立たせた。そして倉庫からバスケットボールを取り出し。1人でバスケを始めた。「まず、最初にシュートを決めたのはここ、その後にここでカットをして、ここでパスをした、、、、」彼は今日の試合を再現し始めたのだ。思わず笑ってしまった。彼が私のためにバスケをしてくれていることが嬉しくてたまらなかった。笑顔が溢れた時、彼はシュートを打ち、外した。「そんな笑顔されたから手元がくるった」とそんな言い訳も少し悔しそうな表情も外したボールを拾う姿も全て私しか見ていない。

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written by らん