大学を卒業して就職できなかった上に9年間付き合ってた彼氏と別れてしまったあの頃。憂鬱だった私はこれからどうしようかと悩んだり、生きる意味があるのかと思ったり、色々大変でした。 そんなある夜、一人で散歩に行こうと出かけたけど、途中で思わず泣いてしまいました。ベンチで落ち着いてから家に帰ろうとしましたが、向こう側にいたある男の人が隣に座って声をかけてきました。
「あの…大丈夫ですか?」
「すいません。はい。」
「あ、でも女の子が一人で泣いてるなんて…何があったかちょっとでいいから聞かせてくれませんか? 何も知らない僕の方が案外話しやすかったりするかもしれないから。」
「そうですね…」
「それで、どうして泣いてたんです?」
「ん… なんででしょう。生きるのが辛いから?虫に生まれたらよかったのに…なんて、ちょっとおかしいですよね?ドラマチックな人に見えちゃいますよね。」
「いいえ、全然!その気持ち、わかりますよ。虫は幸せも悲しみも知らない、本能だけで動くものですよね。そういう純粋な生き方が羨ましいんですか?」
「簡単な生き方が羨ましいんです。人間と比べたら単純だから。」
「人間も単純ですよ!ただ、人間は感情とか欲しいものが沢山あるだけ。でも、それって悪いことじゃないと思います。虫の人生はそのどれもが一緒だけど、僕たちのは違うから。選択したものが愛なら愛、仕事なら仕事。選択できるのが大切なんです。例えば僕なら本が好きだから、聞かれたら本に決めるかもしれませんね。」
「あ、本なら私も…」
「本当ですか?なんか嬉しい!」
「でも…私はどうしたらいいんですかね…」
「そうですね…とりあえず、このまま僕と話しませんか?」
あの夜、全然知らないあの人とたくさん話して、たくさん泣いて、あっという間に心が落ち着きました。 その後にもまた彼に会って、一緒に座って、空の色が変わるまで喋ったり笑ったりしてます。最近読んでる本、ハマってる趣味、失敗した挑戦…話が止まりません。
私に優しく話しかけてくれた、とても素敵な人に出会えてよかったです。
written by tkflglshxhfl
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