俺が野球選手でお前はアナウンサー22

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6年生

進学して私たちは6年生になった。
1学期の班で修学旅行に行くことが決まっていたので、席替えでうたと同じ班になった時は「やった〜!」と2人でハイタッチして喜んだ。

ハナ「いいな〜私も2人と一緒がよかった〜」

私「でも王子くんと一緒じゃん!よかったねっ♪」

ハナ「そうなの〜!複雑な気持ち!」

うた「そういばあたしとハチ、臨海学校も一緒だったよね」

私「ほんとだ…!」

うた「あの時は北山も一緒だったのになー」

頬杖をついて、つまらなそうな様子のうた。


あの時は北山くんと私でどっちが班長になるか、ジャンケンしたっけ

修学旅行は一緒の班になれなかったな…

うたと同じ班になれて嬉しい気持ちと、北山くんとまた同じ班になれなくて寂しい気持ちとで私も複雑だった。


修学旅行に行く前の学活の時間、班ごとにパソコン室や図書室で鎌倉について調べて新聞にまとめて発表するという事前学習があり、

当時パソコンは各班1台ずつしか与えられていなかったので、操作している人以外の暇な生徒は、他の班にちょっかいを出しに行ったりしていた。

北山くんもよく暇になっては私たちの班に「どこ回るん?」「何調べてるん?」と遊びに来て、同じ班の子に呼び戻されていた。

接点が少なくなってしまったけれど、こうして少しでも話せる時間があることが嬉しいな…

鎌倉について調べれば調べるほど、修学旅行へのワクワク度合いも高まった。


修学旅行前日

母とスーパーへ夕飯の買い物に来たついでに修学旅行のおやつを買ってもらえることになり、何を買おうか選んでいると、あるお菓子に目が留まった。

スヌーピーのフルーツ味の飴で、小包装になっていて、1個1個の包みにランダムで一言メッセージが書いてあるものだった。

その中の1つに「すき」と書いてあるものがあることを知って

「これ、北山くんにあげたい…!!」

と思った私は、迷わずその飴を手に取り、他のお菓子と一緒にカゴの中に入れた。


家に帰ってから中身を確認すると「すき」と書かれていた飴は3つくらいしか入っていなくて、レモン味1個とイチゴ味が2個。

どっちが好きか聞いて、北山くんの好きな方を渡そう…!


気付くかな…

どんな反応するだろう…


「ん〜〜!!早く渡した〜い!」

飴を眺めながら気持ちが高まりすぎた私は、枕をギュッと抱えてベッドの上をゴロゴロと転がり回った。

3つの飴は他の飴と混ざらないように、大切に鞄のポケットの中にしまった。



written by ハチ

エピソード投稿者

ハチ

女性 投稿エピ 30