帰宅後
うたの気持ちを聞いた後、私はドキドキしながら家に帰り、家にいてもその事がずっと頭から離れなかった。
北山くんも好きな人できたって言ってたし…
席替えをしたこのタイミングで…
嫌な予感がして、明日から学校で2人を見かけても普通に接する事ができるか自信がなくなってきた。
2人が両想いだったら嫌だ…
翌日
私「おはよ〜」
な・ア「おはよ〜♪」
あまり気分が乗らない中で覚悟を決めて教室に入ると、話しが盛り上がっていたらしいアイコちゃんとなーちゃんが楽しそうに挨拶を返してくれて、いきなりうたやハナに会うのがキツかった私は、ホッとした気持ちで席についた。
ア「…ねぇねぇ、うたから聞いたんだけどさ」
な「いや流石にここではまずいでしょ…!掃除の時間まで待とう!」
ア「そうね、ごめんごめん!」
なーちゃんから注意されると、2人揃って一度うたの方をチラッと見た後「…掃除の時間ね!」と話していた。
うたから聞いた…!?
嫌な予感しかしない…
私「何それ〜めっちゃ気になるじゃん」
ア「ごめんごめん!でもとりあえず、私もなーちゃんもハチちゃん派だからって話してたんだよね、なーちゃん♪」
な「そう!!あー、早く掃除にならないかな」
なんとなくうたに話しかけにくくて、朝はうたとハナのところへ行けずにいたら、1時間目終了まで一切2人と会話することなく過ぎてしまった。
1時間目終了のチャイムが鳴り「そろそろ2人のところに行かないと流石に不自然だよなぁ」と重い腰を上げたところ
北「松井、今日も宇宙と交信してたな!」
と言って私の席の前で可笑しそうに笑う北山くんが立っていた。
私「え…宇宙…どういうこと?」
突然の北山くんの出現と“宇宙と交信”という謎のワードに訳が分からず混乱していると、そんな私を見て北山くんがさらに笑った。
北「お前、ぼーっとしすぎだろ!(笑)竹本がいつも “ハチがまた宇宙と交信してる”って言ってるよ。宇宙人と何話してるんですか〜?」
き、気付かなかった…!!
私と北山くんたちは教室の一番後ろの端と端の席にいたので、見られていることに全く気付かず、完全に気を抜いていた。
ぱっと北山くんとうたの席の方を確認すると、うたがこちらを見て涙を流しながら腹を抱えて笑っていた。
私「うた…!」
うた「だって……ハチ、たまに一人で笑ってる時あるし…宇宙人と会話してるとしか思えないんだもん」
ヒーヒー言いながら息も絶え絶えに弁解するうた。
たしかにそれは怖いわ
でも、よかった…
どんな風に話し掛けたらいいか考えあぐねていた私には、こんな方法でも、またいつも通りうたと接するきっかけができたことは救いだった。
北「やっぱ松井見てるとおもしれーわ」
私「……」
大好きな笑顔が自分に向けられていることが嬉しくて、怒るに怒れなかった。
うた「あー苦しい」
私「うたが私の事好きすぎて困っちゃうんですけど」
うた「あたしに好かれるなんてハチは幸せ者だねっ」
笑いすぎて流れた涙を拭いながら、うたが私ににっこりと微笑みかけた。
うた「ハチのアホなところ北山に見せて引かせようと思ってたのに、失敗したわ」
微笑んだ後にサラッと怖いことを言うので一瞬怯んだけれど、心底機嫌が悪いわけではなさそうだったので安心した。
いつも通り話せてよかった…
今朝のアイコちゃんの言葉が引っかかりつつも、まずは一番気にしていた、うたとの関係が悪化しないでいられることに、とりあえず私は満足した。
続
written by ハチ
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