俺が野球選手でお前はアナウンサー20

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帰宅後

うたの気持ちを聞いた後、私はドキドキしながら家に帰り、家にいてもその事がずっと頭から離れなかった。


北山くんも好きな人できたって言ってたし…

席替えをしたこのタイミングで…


嫌な予感がして、明日から学校で2人を見かけても普通に接する事ができるか自信がなくなってきた。


2人が両想いだったら嫌だ…


翌日

私「おはよ〜」

な・ア「おはよ〜♪」

あまり気分が乗らない中で覚悟を決めて教室に入ると、話しが盛り上がっていたらしいアイコちゃんとなーちゃんが楽しそうに挨拶を返してくれて、いきなりうたやハナに会うのがキツかった私は、ホッとした気持ちで席についた。

ア「…ねぇねぇ、うたから聞いたんだけどさ」

な「いや流石にここではまずいでしょ…!掃除の時間まで待とう!」

ア「そうね、ごめんごめん!」

なーちゃんから注意されると、2人揃って一度うたの方をチラッと見た後「…掃除の時間ね!」と話していた。

うたから聞いた…!?
嫌な予感しかしない…

私「何それ〜めっちゃ気になるじゃん」

ア「ごめんごめん!でもとりあえず、私もなーちゃんもハチちゃん派だからって話してたんだよね、なーちゃん♪」

な「そう!!あー、早く掃除にならないかな」


なんとなくうたに話しかけにくくて、朝はうたとハナのところへ行けずにいたら、1時間目終了まで一切2人と会話することなく過ぎてしまった。

1時間目終了のチャイムが鳴り「そろそろ2人のところに行かないと流石に不自然だよなぁ」と重い腰を上げたところ

北「松井、今日も宇宙と交信してたな!」

と言って私の席の前で可笑しそうに笑う北山くんが立っていた。

私「え…宇宙…どういうこと?」

突然の北山くんの出現と“宇宙と交信”という謎のワードに訳が分からず混乱していると、そんな私を見て北山くんがさらに笑った。

北「お前、ぼーっとしすぎだろ!(笑)竹本がいつも “ハチがまた宇宙と交信してる”って言ってるよ。宇宙人と何話してるんですか〜?」

き、気付かなかった…!!

私と北山くんたちは教室の一番後ろの端と端の席にいたので、見られていることに全く気付かず、完全に気を抜いていた。

ぱっと北山くんとうたの席の方を確認すると、うたがこちらを見て涙を流しながら腹を抱えて笑っていた。

私「うた…!」

うた「だって……ハチ、たまに一人で笑ってる時あるし…宇宙人と会話してるとしか思えないんだもん」

ヒーヒー言いながら息も絶え絶えに弁解するうた。

たしかにそれは怖いわ

でも、よかった…

どんな風に話し掛けたらいいか考えあぐねていた私には、こんな方法でも、またいつも通りうたと接するきっかけができたことは救いだった。

北「やっぱ松井見てるとおもしれーわ」

私「……」

大好きな笑顔が自分に向けられていることが嬉しくて、怒るに怒れなかった。



うた「あー苦しい」

私「うたが私の事好きすぎて困っちゃうんですけど」

うた「あたしに好かれるなんてハチは幸せ者だねっ」

笑いすぎて流れた涙を拭いながら、うたが私ににっこりと微笑みかけた。

うた「ハチのアホなところ北山に見せて引かせようと思ってたのに、失敗したわ」

微笑んだ後にサラッと怖いことを言うので一瞬怯んだけれど、心底機嫌が悪いわけではなさそうだったので安心した。

いつも通り話せてよかった…

今朝のアイコちゃんの言葉が引っかかりつつも、まずは一番気にしていた、うたとの関係が悪化しないでいられることに、とりあえず私は満足した。



written by ハチ

エピソード投稿者

ハチ

女性 投稿エピ 30