俺が野球選手でお前はアナウンサー11

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席替えから数日後

担任「来週、運動会の係を決めます。プリントに係の一覧が書いてあるので、来週までにやりたいものを決めておいて下さい」

北「俺、応援団〜!」

私「私も!」

北「男子と女子3人ずつだから今回はライバルじゃねーな!(笑)」

私「ジャンケンで負ける心配ないね」

北「松井ムダに強いからな〜」

響きがカッコイイからという単純な理由で選んだ応援団だったが、北山くんも一緒なら賑やかになりそうだと楽しみだったのを覚えてる。


放課後

うた「ハチ〜、運動会の係何やる〜?」

うたが配られたプリントを持って私の席へやって来た。

私「応援団やりたいと思って!」

うた「えぇ〜応援団?まぁいいや、一緒にやろ」

応援団と聞いて明らかに面倒臭そうな顔をした後、渋々といった様子でうたが言った。


そんなに嫌そうな顔するならハナと他の係やればいいのに…!


私「ちょうど男子と女子3人ずつだしね!」

う「あ、ハナには言わなくていいよ。聞かれても言わないで」

私「え」

サラリと恐ろしいことを言ってのけるうたに一瞬耳を疑ったが「こんな子だったな」と内心納得した。

私「…でも絶対聞かれると思うよ?」

うた「嘘教えとけばいいじゃん(笑)決まった後で、やっぱり気が変わっちゃった〜ごめ〜んって」


んなの信じられるわけあるかーい


ハナ「ねぇねぇ、2人は運動会の係何にする〜?」

うた「審判係かな〜」

いいタイミングで入ってきたハナに狼狽えることもなくサラッと嘘をつくうたに呆気にとられながら、その横で必死に視線で訴えるも虚しく、ハナには気付いてもらえなかった。

ハ「私も一緒にやりた〜い!いい?」

う「やろやろ〜♪」

何とも言えない気持ちになって、ハナの帰宅をそれとなくズルズルと引き留めながら、うたの帰宅を待った。


うたがやっと帰ったのを見届けてから、周りに話しを聞いている人がいないことを確認して、私は口を開いた。

私「……ハナ、先生から審判係って聞かれても手挙げない方がいいよ」

ハ「え?なんで?」

私「さっきは審判係って言ってたけど、本当は応援団がやりたいって、さっき2人で話してたんだ」

ハ「え、嘘教えたってこと?…ひどくない?」

ショックだったようで少し怒り口調になるハナ。

私「いつものことじゃん」

ハ「そうだけどさぁ…」

私たち2人は、うたが、どちらか一方がいない時にいない方の悪口を話しているのを知っていた。

交換ノートも3人でやればいいものを〝3人だと回ってくるのが遅くなるから‘’という理由で、うたとハナ、うたと私という、謎に2冊でやり取りをしていた。

一度、私とハナが交換ノートをしようという話しをしていたら

うた「へぇー、そうやって2人でコソコソ私抜きで楽しみたいんだ?」

と機嫌が悪くなり、他のグループの女の子たちに私たちの悪口を聞こえるように言ってきたり、何故かこちらが謝るまで1日中無視され続けたことがある。

うたは常に自分がメンバーに入っていたい、誰か1人を除け者にしていたいというタイプだった。

今思うとそっと身を引けばよかったものを、うたにも優しい時はあったので当時は離れるという選択肢がなく、なんとか3人で仲良くしようとしていた。


ハ「まぁいいや!…1人で審判係とかふざけんなよ!」

私「ごめん笑い事じゃないけど笑っちゃう…1人で審判係(笑)」

ハ「私の審判は厳しいよ?」

私「ちょっと、笑わせないでよ!(笑)」

ハ「あはははは!…まぁいいや。教えてくれてありがと!3人で応援団ね!」

私「うん、応援団!じゃあね」


これで一安心かと思いきや、そう簡単には上手くいかなかった。


月曜日の朝

38.7℃

母「今日は休みな」

私「うーん、そうする…」

係決めのことはすっかり忘れて、高熱を出した私は病院に行くためその日学校を休んでしまった。


written by ハチ

エピソード投稿者

ハチ

女性 投稿エピ 30