気が荒そうなあなたが苦手だった。
教室の隅で静かに本を読む私は、いつもあなたにビクビクしていた。
ある日の下校中。
律くんが私の前を歩いているのが見えて、私は何となく距離をとって歩いていた。
私に気づきませんように……。
少しすると向こうから小さな男の子が走ってきて、律くんの目の前で転んだ。
律くんは大声で泣き出す男の子を見つめていた。
私は、彼が機嫌を悪くすると思っていた。
ところが、律くんは、
「おぶってやるから泣くなよ」
そう言って男の子を背負って、家に送ってあげようと歩き出した。
律くんはこちらの方に歩いてきて、思わず立ち止まっていた私にちらりと目をやった。
目が会った瞬間、彼の頬にほんのり赤みがさしたのが見えた。
あの日、私にとっての律くんは180度変わった。
怖そうで、とても近づくことなんてできなかった律くん。
だけど本当のあなたはとっても優しくて、頼れる人だった。
私、そんなあなたに恋をしました。
written by 日向 葵
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