秀才くんは腹ペコ

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夏菜「あっ!蛍くんだ!蛍くーん!!」
逢坂「ちょっ!恥ずかしい……」

視聴覚室から自分の教室に戻る時に夏菜は彼氏の逢坂蛍を見つけた。
彼は特進クラスで学年一の秀才だ。
けれども、人と関わるのが好きではない為にあまり友達はいない。
反対に夏菜は背が小さく、よく笑い、少しドジ、そして少しだけおバカ女子だった。

そんな2人が付き合い始めた時には周りだけではなく学校中がその話題で持ちきりになった。
なぜなら、蛍は人付き合いが悪い為、なかなか寄ってくる女の子はいなかったが、実はすごくモテるのだ。




出会いは春に遡る。

夏菜「中庭一番乗り~!〇〇ちゃん、ジュースおごりね!」

ウヘヘと笑う夏菜の後ろから「うるさいんだけど……」と声が聞こえる。
その場には夏菜1人だけだと思っていた為、思わず後ずさった。

(まさか、あんなに恥ずかしい独り言聞かれた?)

「君、恥ずかしいね。俺、もう行くから」
夏菜「ちょ!待って!あなたの名前は?」
逢坂「は?」

その時、友達が走ってやってきた。と、同時に「お、おお逢坂蛍!」と驚きの声が上がる。
夏菜がぐわしと制服を掴んで話さない彼は「逢坂蛍(おうさかけい)」という名前のようだ。

友達1「ちょ!夏菜。あんたなにしてんの?離しなさいよ!逢坂君に失礼でしょ!」
夏菜「この人、逢坂君っていうの?」
友達2「ってかあんた知らないの?学年一の秀才だよ!?」
逢坂「ねえ、いい加減離してくれない?名前わかったんだからいいでしょ」
夏菜「うん」

夏菜は今までしっかりと握っていた逢坂の制服の裾を離した。
それだけ言うと彼はその場から去って行った。
これで終わったかと思った皆だったが、夏菜は逢坂の背中をじっと見つめていた。

そしてポツリと呟く。

夏菜「逢坂君かぁ、かっこいいね……」

友達2「どうしたの?よだれ垂らしそうな顔して」
夏菜「私、逢坂くんと仲良くなりたい!」
友達1「いきなりどした?!」
友達2「絶対あっちは夏菜の事なんて覚えてないよ」
夏菜「いい。覚えてもらう!」

という事で、夏菜の猛アピールが始まった。



夏菜は名前を覚えてもらう為に頑張った。

毎日のように教室に行ったり、お弁当を作ったり、調理実習の時には必ず差し入れをしたりと、それはもう彼を餌付けでもしているかのように料理部の特権を活かし、時には冷蔵庫などを使わせてもらい、手作りおやつ類を彼にプレゼントした。

そんな事が1ヶ月も続くものだから、聡い逢坂は夏菜の目論見に気づいたようで、ポツリと言う。

逢坂「なに餌付けしようとしてんのさ」
夏菜「ははは。私の取り柄はこれだけなので」

特進科の教室で夏菜は満面の笑顔で笑った。

逢坂「まあ、確かにね。芹沢の作るお菓子、味は悪くないけど」
夏菜「本当?じゃあ、明日はホールケーキを…つ」
逢坂「やめて!!」

そんな感じで月日は流れて行った。

そして、夏菜は逢坂に差し入れを続けた。
周りからは2人ってどういう関係なの?と言う噂が流れ出した頃だった。
2人の関係が大きく変わったのは……。



今日も今日とて夏菜の差し入れを食べている逢坂。

2人はいつの間にか、お昼休憩の時間に待ち合わせをしたように毎日会うようになっていた。
そして相変わらず夏菜は逢坂に差し入れをし、それを逢坂は文句も言わずに食べてくれる。

そして必ず「美味しかった」と言ってくれるのだ。
夏菜はそれで満足していた。
逢坂の事が好きだ。

でも、夏菜の好きの形は初めて会った日から変わっていない。
こうして彼と話ができるだけで満足だったのだ。

そんな事を考えていたら、いつの間にか指をくわえて逢坂を見ていたようで、「どしたのさ?これ、食べたいの?」と夏菜の口に今日のおやつ、シュークリームを放り込む。

夏菜「もごもごもご(びっくりした!)」

突然の事に夏菜はむせる。
そんな夏菜をみながら逢坂がいつもよりも真剣な顔で口を開いた。

逢坂「ねえ、芹沢はさ、なんでいつも俺にお菓子やお弁当とかくれんの?」
夏菜「え、それは、好きだから!」
逢坂「は?でも芹沢の好きって犬とかが好きと同じ好きってことだよね?俺が美味しそうに食べるのを見るのが楽しいとか…そんな感じの…」
夏菜「え?うーん、確かに楽しいけど…」

いきなりの言葉に思わずシュークリームが喉に引っかかりそうになってしまう夏菜。
いきなり咳き込む夏菜を見ると逢坂は少しびっくりして背中を叩いた。
そして「治った?」と聞くと、改めて口を開く。

逢坂「俺はさ、そんな犬と同じ好きじゃ足りないんだけど?」

その言葉に夏菜は手に持っていた今日の差し入れのシュークリームを握りつぶしてしまった。

逢坂「ああーー、勿体無い。俺、芹沢の作るお菓子好きなんだけど!まだ食べてない」
夏菜「ごめんーー。でも好きってありがとう!」
逢坂「って言うかさ、俺の言ってる事分かってんの?」
夏菜「何を?シュークリームが好きって事でしょ?」
逢坂「ばーか!俺は芹沢が好きって言ってんの」
夏菜「え?あの?え?」

突然の言葉に、思わず立ち上がる夏菜。

夏菜「ああーー!シュークリーム!」

夏菜の膝の上に置いてあった残りのシュークリームは無残にも全て地面に落ちてしまった。

written by 恋エピ公式

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