彼との出会いは私が高校3年生の時。
家庭教師の先生でした。
母親に紹介をされ初めて出会った時、彼は大学2年生で明るい髪色が印象的な俗に言うイケメンでした。
きっと普通なら先生に憧れたり、恋をするのかもしれないけれど…その当時、私には同じ学校の同級生の彼氏がいました。
当時、大学受験を控えており勉強に勤しんでいた私でしたが…。
成績が伸び悩み、受験に向き合うことが出来ず、彼氏に会う事ばかり考えていた私でしたが…今までの生活から一転
それからは授業が終わる度に、先生は私の家に着ました。
何とかサボろうとしても行動を読まれてしまい、先生が来る日は勉強漬けの時間ばかりになっていきました。
彼氏との時間も今までの様には取れず、やきもきしていたある日。
彼が私が家庭教師を始めるよりも、以前から別の女の子ともお付き合いをしていたことが発覚、そのまま即別れを告げました。
その日も先生が来る日でしたが、私は勉強する気など全く起きず家に帰るなり母親に今日は勉強できる状況ではないことを伝え、部屋に戻りそのままベッドに倒れました。
少しすると、携帯に1通のメッセージが届きました。
もしかしたら彼からかもしれない、と思いすぐに画面を確認すると…そこには先生からのメッセージが来ていました。
内容は私のことを気遣うものと、今度の休みに息抜きにでも行かないか…というものでした。
タピオカ奢ってやるから…なんて子ども扱いをされて、正直行きたくはなかったけど彼と今まであっていた時間を一人で過ごすも嫌だと思ったので、待ち合わせ場所に向かいました。
待ち合わせ場所の駅にはもう先生は待っていて、遠目で見てもやっぱりイケメンだなと思いましたが、同時に彼氏と別れたばかりなのに…別の異性に気が向いている自分に嫌気がさしてしまいました。
約束通りタピオカを奢って貰ったり、色々な所へ遊びに行きました。
思っていた以上にその時間は楽しく、とても心地よい時間でした。
自宅までの帰り道、途中にある公園で少し話そうと先生に提案され、ベンチに腰を下ろしました。
たわいもない話から始まり、不意に先生から「これ、この前やった苦手克服テストの結果」と、テスト用紙を差し出されました。
「ごめんな、勉強勉強って言いすぎてたなって思う。」と言われ、同時に「でも、頑張って欲しくて…頑張ったらきっと、できるって思ってたから。」と、くしゃりと笑い言いました。
その笑顔が眩しく見えて、思わず胸が高鳴りました。
それから思わず堰を切ったように…口を開き、受験で悩んでいた事と彼氏に浮気をされていた事を話しました。
そして、両目に涙をためて視界が滲むのを機にする余裕もないまま私は
「今まで半端なことしてすみませんでした…逃げないで…大学受験、頑張ります。だから、先生の力をもっと借りたいです。」
声は震えていましたが、はっきりと伝えました。
先生は一緒にいて今まで見たことのなかった優しい笑顔で、頷き私の頭をそっと撫でてくれました。
薬指にシンプルな指輪をつけた大きく、暖かい手のひらで。
ああ、私、先生に恋をしてしまったんだなと、気づいてしまいました。
先生には恋人がいる、という話は聞いたことなかったけれどいつも左手の薬指に指輪をつけていました。
「恋人がいるんですか?」と聞く勇気も私は出ず、指輪のことは気になりましたが
今までとは違い、気持ちを切り替えて受験勉強に励んでいました。
難しい問題が解けると、先生は決まって褒めてくれるのですが、同時にあの時と同じように頭を撫でてくれるようになりました。
お付き合いもできないし、高校生では相手にされないだろうと思い込んでいたので、それだけでも嬉しかったです。
そしてついに受験を迎えました。
先生から貰っていた桃色のお守りをバッグにつけて挑みました。
出せるだけの力を出しきり、後は結果を待つのみとなりました。
そして、合格発表の前日。
早めに眠ろうと考えていた矢先、携帯にメッセージの通知が来ました。
それは、先生からでした。
「明日、会いに行くよ。」
そして合格発表…学校に1人で向かい、待っているとしばらくしてから、掲示板に結果が貼り出されました。
ゆっくりと、一つずつ番号を確認して行きました…そして。
無事に、自分の受験番号を見つけることができました。
安心感と、今までやってきたことは無駄じゃなかったのだと思うと目頭が熱くなるのを感じました。
すぐに先生に知らせなければ、そう思い立ち携帯を取り出し先生へ電話をかけました。
すると、着信音が後ろから鳴り響きました。
びっくりして後ろを振り返ると、そこには優しい笑みを浮かべた先生の姿が。
私は嬉しくなり、そのまま思わず先生に抱きつきに行きました。
しっかりと受け止めてくれた先生に合格していたことを伝えると、先生はお祝いの言葉を言いながらそっと頭を撫でてくれました。
そして、続けて「話があるんだ」と言ったので私は「何だろう?」と涙を拭いながら顔をあげました。
少しだけ視線を泳がせた後、先生はしっかりと私を見据えるとやがて意を決したように口を開きました。
「ずっと好きでした。こんなこと言われても困るかもしれないけど、本気で…大切にするから、お付き合いしてくれますか?」
受験に合格した事でいっぱいいっぱいだった私は、動揺しながらも涙を零して何度も頷きました。
その後、彼に指輪のことを聞くとどうやら女の人が少し苦手で声を掛けられる回数を減らすために指輪をしていたらしいです。
今ではその為の指輪では無く、きちんと私とお揃いの指輪をつけています。
喧嘩もするし、楽しいことばかりではなかったりするけれども
彼とは私が大学を卒業を待って、結婚をする予定です。
written by 恋エピ公式
Sponsored Link
旧サイト運用中に公開した作品と、ご投稿いただいたエピソードを掲載しています。