匿名バレンタイン

コンテンツ名とURLをコピーする

高校2年の春、選択授業の隣の席になった男の子を好きになりました。彼は一見物静かそうで、控えめに見えましたが、男子からも女子からも先生からも愛されるキャラだったようです。

サッカー部で疲れていたのか、授業中居眠りしていることもありました。
私の好きなタイプとは少し違いましたが、不思議と惹かれました。きっと授業中の横顔と、たまに見る笑顔が本当に好きで、一目惚れだったのだと思います。高校時代の私は、男の子とほとんど話せなくて、華やかな青春はほど遠くにありました。私の高校は、生徒数の多い、いわゆるマンモス校で、彼とは別のクラスでしたが、古典の授業は同じでした。他の子はみんなウトウトしている中、私は彼のおかげでバッチリ起きていました。毎回の授業がとても楽しみでした。
彼とは一言も話したことはなく、話す勇気もなくバレンタインの時期になりました。
どうにか想いを伝えたい。だけど、話したこともないのに気持ち突然話しかけたりチョコ渡したりしたら気持ち悪がられるかもしれないし、と頭の中で1人会議をしました。結果…バレンタイン当日の放課後、匿名のメッセージと市販のチョコレートを彼の机にかけておくことにしました。
「サッカー頑張ってね!応援しています。」

それからも、彼と話すことはできず、一年後の卒業式の日。意を決して告白。ホワイトデーが近かったので、クッキーを渡しました。「あの、ずっと好きでした!これ、あの、逆バレンタイン?えーとなんだっけ?」「ホワイトデー?(笑)ありがとう。」と。「前にチョコくれたのも、そう?あれ、嬉しかった」と彼に言われた時、恥ずかしくて、本当に本当に嬉しくて、泣きそうでした。
お互い大学生になって、少し連絡を取ったりしましたが、結局恋は実らず、今はもう連絡もつきません。
好きがどういうことなのかも分からず、追いかけてばかり、プレゼント作戦の一点張り(笑)

無知の高校時代の私を思い出すと恥ずかしくなります。だけど、あの時彼に出会って、見るだけでその日1日が幸せになるような経験は、今でも大切な思い出です。

written by 恋エピ公式

エピソード投稿者

恋エピ公式

秘密 投稿エピ 736

旧サイト運用中に公開した作品と、ご投稿いただいたエピソードを掲載しています。