私が看護師として、最初に就職したときの話です。
同期には、看護師だけでなく医師や理学療法士、事務職員もいました。その中に、病棟の事務担当として入職した男性がいました。
彼とは同じ病棟に配属されたので、なんでもないような話で笑ったり、同期みんなで飲みに行ったり、旅行に行ったらおみやげを渡し合ったりと、普通に仲良くなっていきました。
同じ病棟で働く彼の、真摯な仕事ぶりを尊敬していました。私が仕事でうまくいかなくて落ち込んでいると、声をかけてくれたり笑わせようとしてくれたりする優しいところもあって、私は彼のことを少しずつ好きになっていました。ただ、彼には付き合っている女性がいたので、私はどうするつもりもなく、友達で十分だと思っていました。
ある日、私のレターボックス(書類などが入る、個人用の引き出し)に、キティちゃんの小さなメモ帳が入っていました。
何だろうと思い表紙をめくると、「あげる!〇〇(彼の名前)」と1枚目のメモに書かれてあり、裏表紙の隅っこには「〇〇さん」と私の名前が書いてありました。出張に行っていたので、お土産かな、と思いましたが、そのメモのデザインは、キティちゃんの横に「好いとー」の文字があるものでした。
彼が私にくれたお土産で、こんな言葉の書かれたデザインのものをもらったことが嬉しくも、切なくもなりました。「好いとー」の真意を聞くこともなく、普通に「ありがとう」と直接お礼を言いましたが、何だかもったいなくて、そのメモ帳はあまり使えませんでした…。
結局、彼との関係はその後も何も変わることはなく、そのうち彼は異動、私は転職して会うこともほとんどなくなりました。
数年後、彼は当時から付き合っていた方と結婚されたようです。
メモ帳の「好いとー」の真意も今となってはわからないですが、たぶん深い意味はなかったのでしょう。
でも、好きな人がくれるものって本当に特別だなぁと思いました。
written by 恋エピ公式
Sponsored Link
旧サイト運用中に公開した作品と、ご投稿いただいたエピソードを掲載しています。