魔法のカイロ

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中学3年生、受験も終わり卒業式が迫ってきている頃のお話です。
私は1年生の時に同じクラスだった野球部の彼にずっと恋をしていました。初恋です。しかし奥手な私はせっかく同じクラスなのに話しかけるだけで精一杯でした。
そして2年生のクラス替えで1番遠いクラスになってしまい、ついに話すことさえなくなってしまいました。

3年生のクラス替えでは仲が良かった友達と離れ離れになり…新学期早々落ち込んでいると
「お前も6組?俺も!1年間よろしくな!」と背が驚くほど伸びて少し大人っぽくなっていた初恋の彼が話しかけてくれました!なんとまた彼と同じクラスになれたのです!!
そんな彼に、1年生の時と同じく話しかけることしか出来ず…卒業まで残り1ヶ月をきった頃「そろそろ卒業も近いし、残りの学校生活はたくさん席替えしてたくさんこのクラスでの思い出を作ろう!」と担任の先生が提案して卒業までの1週間ごとに席替えをすることになりました。

席替えでなんととしてでも彼の近くになりたい…!と神に祈る思いで、1回目の席替えが終わり…2回目、3回目、ついにラスト席替えの日を迎えました。彼の近くの席には一度もなれず「もう無理かも…同じクラスになれたからそれで運使っちゃったのかな…」と落ち込んでると「お前ここの席?俺、隣!」と!聞き覚えのある声が!何と卒業前の最後の席替えで彼の隣になれたのです!

1週間限定でしたが、問題を交換して丸つけし合ったり、彼にも妹がいると分かりお互い妹の話をしたり、野球の話をしたり…と色々な話をして「卒業したくない。ずっと隣にいたいな〜」と思うくらい幸せでした。笑

卒業式の前日。本番のために体育館で最後の練習をして教室に戻ってきた時、冷え性の私の手はキンキンに冷えていました。それに気付いた彼は、「あ〜暑いな〜。使う?」とわざと暑い素振りを見せて私に自分のカイロをくれました。嬉しくて何も言えずにいると「それ魔法のカイロだから。お前の手がもう冷たくなんねぇよーにおまじないかけといたから!」と彼に言われ、魔法のカイロのおかげで心まで暖かくなりました。

そしてついに卒業式当日。式を無事に終え、教室に戻ってきました。3年間の色々な出来事を思い出して号泣する私に「泣くなよ。最後くらい笑おうぜ」とポケットからあるものを取り出しました。
「お前が笑顔になれますよーに!今日もおまじないかけといた!」と、とびきりの笑顔で渡されたのは魔法のカイロ。嬉しすぎて泣きながらありがとうを言いました。

あれから8年の月日が流れ、今でも魔法のカイロは捨てずに保管しています。
つらくなった時に魔法のカイロを見ると幸せな気持ちになり、頑張るぞ!と元気をもらえます。まだおまじない効果があるみたいです。笑
彼とは卒業して以来それきりですが、私にとっては大切な大切な初恋の思い出です。

written by 恋エピ公式

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恋エピ公式

秘密 投稿エピ 736

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