高校生になって電車で通学するようになった春の話です。
地元の中学校を卒業して、隣の市にある高校に通うようになりました。
生まれた時から当たり前のように過ごしてきた田舎から離れて通学すること、定期を使って毎日電車に乗ること、親の目を離れて友達だけの環境で過ごすこと…すべてが新鮮で、自由に期待を膨らませていました。
そして毎日電車の中で見かける他校の先輩。毎朝の電車の中で10分程度しか見かけることが出来ないけれど、いつも気になっていました。
その場所にいない時には目が勝手に探してしまう。話しかける勇気もないのに名前をさぐってみたり、どこで降りるのかチェックしてみたり。
告白どころか、話しかけることも出来ないのに、休みの日に偶然電車に乗り合わせたときにはあらゆる妄想を膨らませていました。
そして彼女がいるらしいとの噂が耳に入った頃、実際に女の子と歩いている姿を見て勝手に失恋をして大泣きしてしまいました。
とても甘酸っぱく懐かしい春の記憶です。
今でも春の風を感じると、あの頃の切ないけれどワクワクするような何とも言い難い気持ちが蘇ってきます。
written by 恋エピ公式
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