小学生みたいな先輩

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飲食店に入社して3ヵ月半、まだ慣れていないまま迎えたクリスマス。
イタリアンのお店だったため、当日の予約は通常の5倍以上でした。

2名12組案内可能のスペースを任され、わたしは実力不足と緊張ですぐに回せなくなってしまいました。
職場では泣かないと決めていたので、涙を堪えながら回らなくなった頭で懸命に動きを考えていると、「交代だって。」と先輩が声をかけてきました。
その先輩は、いつもわたしに毒ばかり吐くのでたまにイラッとするけど、でも一番話しやすいお兄ちゃんのような先輩でした。
「任せろ!俺は5回目のクリスマスだから慣れてるから。だいじょーぶ」
と言ってわたしの顔をじーっと見ると、右手でわたしの目元を覆ってきました。

お礼を言ってその場を離れた後は厳しい上司に馬車馬のように走らされ、仕事を終えてからは仕事辞めようと考えながら帰りました。
が、ふと先輩の行動を思い出し、あれは何だったのだろう…?
ということで頭がいっぱいになって、家に着く頃にやっと、泣くな、という意味だったことに気づきました。
先輩は、わたしが涙を堪えていることに気づいていたんです。
だからわたしの顔をじっと見ていたんだということにも繋がって、普段は意地悪な先輩の優しさに涙が一気に溢れてきました。

先輩は小学生の男の子のように、好きな子には意地悪したくなるタイプだったようで、年越しを一緒に過ごし、その後告白してもらい、今では婚約者になりました!

そして来年入籍予定です。
ちなみにお付き合いしてからは、毒を吐かれることは一切なくなりました!

written by 恋エピ公式

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秘密 投稿エピ 736

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