どこまでも優しかった彼

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高校生の頃から付き合って5年目。高校卒業と同時期に付き合い始めたため、はじめから遠距離でした。

お互い大学生で長期休みが被ったりしていたため、2ヶ月に1回のペースで会えていました。
しかし、4年目の記念日を迎えた今年、4月から私は社会人、彼は大学院生となり生活環境が変わり、休みも合わず不安を少し感じ始めていました。
そんな時、いつも通り2ヶ月ぶりに彼に会いに行った最終日の夜、ある出来事がありました。

私は、次会えるのはもう社会人になっていていつ会えるかわからない寂しさと、ほんとにこれから続いていけるのかという不安の中、忙しい彼に夜ごはんを作り、作り置き用のハヤシライスを作って一緒に夜ごはんを食べました。

私が食器を片付けた後、彼はもう眠っていました。
日々忙しい彼が疲れているのは理解していて、ここはそっとしておいて寝かせてあげようと思う反面
「しばらく会えないのに彼は寂しくないのか。」
「私は彼のごはんを作って終わりなのか、寂しい。」
「明日帰るのに。ちょっとは構ってよ。」

という思いでいっぱいになり、どうしたらいいか分からず涙が止まらなくなりました。
暫くしてから、彼が目を覚ますと、そこには号泣する私。
彼はびっくりした様子ではいましたが、私の横に座りぎゅっと抱きしめてくれました。
私は、小さな頃から人の目が気になり、自分の思いを伝えることが苦手です。
それは、嫌われたくないから。今回も、寝ているのに起こしたら迷惑じゃないのか。
嫌われるんじゃないか、という不安から身動きがとれませんでした。
ぎゅっと抱きしめてくれた彼に私は拙い言葉で

「明日からしばらく会えなくなるのに寂しかった。でも疲れているのは分かってるから起こすのもなと思った」

と自分の葛藤を伝えました。すると彼は
「そうだよね、ごめんね。そんなに気を遣わなくてもいいのに。そんなんで嫌いにならないし。大丈夫だよ。もっと雑に扱ってくれても良いのに」と優しく言ってくれました。

その時に改めて彼のあったかさと寛大さ
いざとなったらちゃんと向き合い寄り添ってくれることを再確認しました。

私が落ち着くまでぎゅっと抱きしめ、背中をさすってくれました。
私の不安は一気に吹っ飛び、「この人なら大丈夫だ」と安心出来ました。
次の日の朝、帰り際に「がんばってね。頑張れなくなったら連絡して。頑張れるようになるから」と4月から始まる新社会人生活への勇気をくれました。
彼の存在が私にとって大切な存在で、弱くて脆い私を唯一さらけ出せる大切な場所だと改めて感じ、彼と出会って付き合えてよかったなと心の底から思いました。「これからも、こんな私だけどよろしくね」という気持ちでいっぱいになりながら彼の部屋を出て4月からの新生活に向けて前向きに頑張っていこうと1歩踏み出すことができました。

written by 恋エピ公式

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秘密 投稿エピ 736

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