僕は小さい頃、泣き虫だった
何かあるとすぐに泣いてしまう僕の隣には、いつも幼馴染みの女の子がいてくれた。
ある日、いつものように僕が泣いていると
「空くん!これ、あげる!」
と言いながら幼馴染みが何かを手渡してきた。
それは、白い布で作られたてるてる坊主だった。
「てるてる坊主…?」
「うん!空くんの顔が晴れになるお守り!」
いつも雨模様の僕の顔を晴れにするお守りらしい。
「…ありがとう」
お守りを貰ってからは、不思議とだんだん泣かなくなっていった。
それでも泣いてしまう時、いつも隣にいてくれるのは幼馴染みだった。
泣き虫もすっかり治り、僕らは高校生になった。
高校生活にも慣れ始め、もうすぐ夏休みが始まる汗ばむ季節に幼馴染みから突然告げられた−
「私…引っ越すことになったの」
「え…嘘…」
話の内容がすぐに理解出来なかった。
いつも一緒にいる幼馴染みがいなくなるなんて実感出来ない。
ついに引っ越しの日がきてしまった。
心に雨が降ったように沈んだ気持ちだ。
僕は、久しぶりに涙を流した。
堰を切ったように何故か涙が止まらない。
そんな僕を見兼ねた幼馴染みが声をかけてきた。
「…空くん、新しいお守りあげるね」
「…?……………!!」
渡されたものは、白いてるてる坊主。
そして、
“スキ”
という2文字が刺繍されている。
それを見た瞬間、僕の雨は止んだ。
代わりに、泣いているのか笑っているのかわからない顔になってしまったけど。
「あー!また泣いた!」
「…嬉し泣きだもん。…もしくは天気雨…」
やっと気付いた。
君は僕の太陽だったんだ−
written by ふぅ
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