中学1年生の時の担任はすぐ怒鳴り、すぐ手が出る、とても怖い先生でした。
梅雨の日の出来事です。私はバスケ部に所属しており、その日は一人で朝練をしていました。誰かの足音が聞こえ、振り向くと先生がいました。「貸してみろ」そう言って先生は軽々とシュートを決め、めったに見せない笑顔を見せてくれました。きっとそのときに、私は恋におちたのだと思います。
しかし彼は20も年上の先生。恋心は誰にも打ち明けず、ただ見つめるだけでした。帰るときに待っていてくれたこと、手を振ってくれたこと、褒めてくれたこと、励ましてくれたこと。小さな事でも、とても幸せでした。
月日は流れ、3年生になりました。いつも通りのある授業中、彼は突然言いました。「結婚した」
次の授業を休み、私は一人泣きました。叶わないのは分かっていました。しかし、それを突きつけられることは痛くとても辛い事でした。
その日から彼をまっすぐ見る事が出来なくなりました。
それでも私は卒業前に彼にどうしても気持ちを伝えたくて、会いに行きました。しかしいざ彼の前にいくと、好きだとは言えませんでした。口から出たのは、「結婚、おめでとうございます」でした。
「ありがとう…ごめん」と先生は言いました。
ごめん。その言葉で私は泣きました。
不器用で優しくて、暖かい先生。大好きです。
written by Sumi
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