叶わぬ両思い

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中学2年生の冬。私の人生を大きく変える出来事が起こります。

中学に入学するタイミングで両親が離婚。私は母と2人で新しい生活をスタートさせました。知らない地で新しい住まいに引越し、新しい中学の友達と過ごして、もうすぐ2年が経ちます。それなりに楽しく毎日を過ごしていました。

「おう!まい!今帰り?」
声をかけられて後ろを振り返ると
近所の高校の制服を着た長身のお兄さん。
「けんちゃん、今日部活ないの?」
「テスト期間だからな〜。あ、まいもか!笑」
「けんちゃん、勉強するんだ。野球以外のこともするんだね〜。笑」
「なんて失礼な!まぁゲームするために早く帰ってきたようなもんだな。笑」
そんな会話をしながら階段を上がっていく。

私たちはお隣さん。
越してきた日に母とお隣へご挨拶にいくと
出てきたのがけんちゃんだった。
実はその時、私は一目惚れ。
この2年間ずっと、けんちゃんが好きだった。

「そういえばお母さんが今日もうちでご飯どう?って言ってたけどテスト期間だから無理そう?」
「なーに言ってんの!ゲームするっていったろ〜全然暇だわ!!親父帰ってきたら行くわ!」

…なんとご挨拶の翌日知ったのだが、
けんちゃんのお父さんとうちの母は地元の同級生で
小中一緒だった。そのため家族絡みで付き合うようになった。けんちゃんとけんちゃんのお父さんはずっとこの地で2人暮らしをしており、けんちゃんは「親父の飯じゃ栄養が足りねー」とお父さんになかなか失礼なことを言いつつ、お父さんもあまり料理が得意ではないそうで、よく我が家で一緒にご飯を食べている。

「今日もおいしかったです!ご馳走様でした!
まい〜アイス買い行こうぜ〜」
「うん!お母さん、行ってくるね!」
食後はいつもけんちゃんと2人で
4人分のアイスを買いに行く。
その時間が私の幸せな時間。
……まぁ、行き先は歩いて3分のコンビニだけど。




ある寒い日の夜だった。
その日もけんちゃん親子は我が家で一緒に夜ご飯を食べていた。

あれ?今日のけんちゃんは、心なしか不機嫌…?

ご飯を食べ終え、今日もコンビニ行くかな?
とけんちゃんからのお誘いを待っていると
突然、けんちゃんのお父さんが私の母を横に呼び寄せて話を始めた。
「今日は2人に話しておきたい事があるんだ。
実は、俺たち結婚しようと思っている。」

??

「まいちゃんの高校入学に合わせて
来年入籍しようと思っているんだ。
もうすぐこの家も更新の時期だから、
このタイミングで近所の住まいを探そうと思ってる。
というわけで、これから2人は兄妹になるんだ!これからも仲良くな!」

???
え、えぇーーーーー??

突然、親の結婚を知らさせた私は頭真っ白。
けんちゃんはかなり不服そう。

お母さんが幸せになるのは嬉しい。
けんちゃんのお父さんとても優しいし頼りになるし、家族になるのは嬉しいけど……
私とけんちゃんが兄…

「まい、アイス買い行こう。」
けんちゃんが呆然としている私の手を引く。
「これからのこととか、新しい住居探したりさ、2人でゆっくり話し合ったらいいよ。
俺たち少し出てくるわ。」
足早に部屋を出た。

………

「あれ?けんちゃん、コンビニは…」
手を引かれたまま着いた先は、
なんと隣のけんちゃんの家。
「まい、俺たちもちょっと話そう。」
こうして、けんちゃんの部屋へ通された。

「まぁ、その辺好きなとこ座って。」
久しぶりに来たけんちゃんの部屋は物が少なめで
高校生になったからか、少し大人びた部屋になっていた。
私はベットを背もたれにして、テーブルの近くに座った。

けんちゃんが隣に座った。

なんだか大人の男の人のお部屋ってこんな感じなのかな?私のお部屋、物多くて子供みたいだから片付けなきゃな…なんかドキドキするー…!

もうドキドキでおかしくなりそうな中、
隣に座るけんちゃんが話し始めた。

「まい、今まで伝えてなかったけど
もう言えなくなるかもしれないから……


俺、初めて会った時からまいのこと好きだよ。」


???
え?本日2度目。頭の中真っ白。

…けんちゃんが私のことを好き??

「やっぱ、俺と親父は親子だな。
まいとまいのお母さん似てるし…
好きなタイプも遺伝するのか…ははっ!
親父に先越されちまった……。」

そう言って俯くけんちゃん。

なんか……言わなきゃ!!
「私も、、けんちゃんに一目惚れした!
けんちゃんが好きだよ。」

けんちゃんは少し驚いて、私に笑顔を向けた。

「俺たち家族になるんだな…。
でもこんな形でなりたくなかった…。」
あぁ。けんちゃんの不機嫌な理由って…

俯いて考えこむ私の顔を
けんちゃんの両手が包み込む。

「まい、今日が最初で最後。
今日だけ恋人になろう。
親父とお母さん、悩ませたくないから
今日のことは忘れよう。
明日から俺らは兄妹。今日を最後に俺、諦めるから…」

けんちゃん、そんなこと言わないで。
好きでいて欲しいよ。

でも…けんちゃんの言う通り
大好きな2人を困らせるわけにはいかない。

「うん、わかった。」
わかってはいるけど、諦めきれないよ。
涙が出てきた…。


「まい、大好きだよ。」
せっかく恋人になれたんだ。笑顔でいたいのに涙が止まらない。

近づいてくるけんちゃんの顔が涙で滲んで
よく見えない。
この瞬間を、ずっと忘れたくないのにな…。

written by まいな

エピソード投稿者

まいな

女性 投稿エピ 3