お隣さん

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私の高校の頃の話。私は美術部に所属していたけど活動的な部活でもなかったし、定期的な活動もなかったので、先輩達や後輩がいても開けにくるのは私だけ。
その日も顧問の先生に部室の鍵をもらいに職員室に行くと、見慣れた顔の男子がでてくるとこだった。
彼は一年生だけど、私の友達の彼氏と仲良いのかよく一緒にいるし背も高いので、彼氏くんといなくともよく視界にはいる存在だった。私の友達とその彼氏と同じ弓道部に所属しているので、運動部が活動している時間帯にいるのは珍しく、つい声をかけた。
「後輩くん今日部活は?友達ちゃんは今日も彼氏くんと一緒に部活行ってたけど。」
「今日はゲーム部の活動があるんで、そこの鍵もらいにきたんですよ。先輩美術部でしたよね?同じ階なんですけど知りません?」
「え、同じ階…私、美術部に基本ひとりだから他所気にした事ないんだよね。あ、今から行くなら一緒に行こうよ!鍵もらいにきたとこだし。」
と、その頃の私は割と思いつきで行動するとこがあったので、なんの思惑もなくただ同じ方向に行くなら。と後輩くんを誘ったのだ。断る理由も特にない後輩くんと連れ立って部室へ行くと、意外な事実が判明。
実は美術部とゲーム部は階段を挟んでお隣さんだったのだ。
「あ、たまに賑やかな声がすると思ったらゲーム部だったんだね〜。階段挟んでたから?気づかなかったよ!ご近所さんじゃん!」
「俺もお隣とは思わなかったです。鍵開く音は気づいてましたけど。」
それから、後輩くんがゲーム部に来る日はお隣さんへ遊びに行くように。友達カップルの話に花を咲かせたり、後輩くんがゲーム部で熱心にやっている囲碁など教えてもらったり、少し前までただの知り合いだったのが嘘のように仲良くなった。そんな友達付き合いが一年くらい続いて、私は3年生、後輩くんは2年生に。後輩くんは年下の割に落ち着いていて、一緒にいると安心感がある男の子だったのだが、ある日体育の授業の直前に、グラウンド近くの自販機にいた後輩君と目が合って、おいでおいでと手招きされたので招かれると
「今から体育?寒いから頑張ってね。」
と頭をぽんぽんとされた時にドキドキが始まって、その日の体育は張り切ってしまった。
その日から、後輩くんといる時間はずっとドキドキしっぱなしなのに、後輩くんはいつも通りすぎて、あれはなんだったのか⁉︎とモヤモヤしてすごした。
そうモヤモヤしたまま、私は卒業し、結局後輩くんとはそれっきり。それから何人かお付き合いもし、最終的に10歳上の男性と結婚し子供もいるけど、その時の後輩くんとの時間が一番甘酸っぱくドキドキした時間でした。

written by 十六夜

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十六夜

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