僕と愛妻の里奈の馴れ初めエピソード、後編です。
前回は職場で妹のような存在としてかわいがっていた、真面目でおとなしい子がイメチェンして見違えるように可愛くなり、異性として意識するようになってしまった話しでした。
(詳しくは先日投稿した、前編を是非ご覧ください)
※登場人物は全て仮名です。
6月中旬の週末、土曜日。
俺、立花義之は愛車の青いスポーツカーを走らせていた。
職場の後輩であり、同じ部署で働く部下でもある宮田里奈さんとデートの約束をしたので、待ち合わせ場所ヘ向かっている。
ヘアゴムでまとめただけのポニーテールから髪を切り、きれいに整ったかわいいショートボブにヘアスタイルを変え、ナチュラルメイクをしてイメチェン、地味な雰囲気からまるで別人のように可愛くなった宮田さんを「ひとりの女性」として意識するようになってしまった…。
(あの子、もしかして俺のこと…⁉)
数日前、仕事帰りにレストランで宮田さんと2人で食事した時の事を思い出す。
その時、彼女は「付き合えるとは思ってないけど、好きな人に少しでも女性として見てもらいたい」
ためにイメチェンをしたこと。
その男性のことが心の底から好きで、密かに尊敬し、憧れていること。
そして俺に彼女がいないとわかった時、「よかった…」と独り言のようにつぶやき、「立花さんのような素敵な人と、付き合える女の人がいたら…」
「その女の人が羨ましいな、って思って…」
と小さな声で控えめに、しかし想いのこもった表情と口調で話していた…。
そんな宮田さんの切実な想いに何かが弾け、俺は彼女をデートに誘った。
そして俺は彼女を職場の後輩、「妹のような存在」としてではなく、「ひとりの女性」として好きな事に気づき、デートの最後に告白する事を心に決めていた。
待ち合わせ場所の、とある駅のロータリーに着きクルマを停める、それに気づいた若い女性が近づいて来た。
俺はクルマからいったん降りる。
俺「ごめん、待った…」
「…!!」
宮田さん「いえ、私も少し前に来たところです☆今日はよろしくお願いします(^^)」
「ところで立花さん、どうされました?」
俺「いや、その…。宮田さんがすごくかわいいから、びっくりしちゃって…」
宮田さん「えっ⁉か、かわいい…。ありがとうございます♡」
「恥ずかしいけど、立花さんに言われると嬉しいです(^^)」
控えめでおとなしく、恥ずかしがり屋な宮田さんは俺の言葉に照れてしまっているw
今日の宮田さんは、ノースリーブで白いVネックのワンピース。
清楚でさわやか、そしてとても可愛らしい。
俺は彼女を見た瞬間、ドキッとしてしまった…。
(本当に以前とは別人のようだ…)
そんな宮田さんを助手席に乗せ、目的地の水族館へ向かう。
俺「着いたよ」
宮田さん「はい、楽しみです♪ちょっと緊張しますけど…」
俺「ははっ、今日は楽しもう(^^)」
そういう俺もちょっと緊張するけど…。
クルマを降り、ふたりで並んで歩いて水族館ヘ向かう。
まわりを見ると、何組ものカップルが歩いている。
手を繋いだり、腕を組んで仲睦まじく歩いていて、本当に幸せそうだ。
(俺たちも傍から見たら、カップルに見えるのかな)
多分、そうだと思う。
でも俺はこれからデートをするけど、まだカップルじゃない。
しかし周囲の雰囲気で思わず…。
俺「…」
宮田さん「あっ…」
俺は、そっと宮田さんの手を握った。
控えめに、彼女の反応を見ながら指だけで…。
宮田さんは驚き、そしてかなり照れている様子だったけど、嫌がる様子はなかった。
その場の雰囲気と勢いで思わず手を繋いだけど、俺も何だか恥ずかしい…。
お互いにそわそわする俺たち。
(大人が手を繋いだだけで照れまくりとか、中学生カップルかよっ!)
心のなかでツッコミを入れる俺w
「わ〜、きれいなお魚さん♪」
「見て見て、この子可愛くないですか♡」
水族館の中に入り水槽を見るや否や、屈託のない笑顔ではしゃぐ宮田さん。
控えめでおとなしく、真面目な彼女とは別人のように無邪気で、少女のようでとても可愛らしい♡
「あ〜、ペンギンさん可愛すぎ♡」
「もう少しペンギンさん見たいです♪ねっ、いいでしょ(^^)」
ペンギンのところに行くと、宮田さんはメロメロになって俺にダダをこねて来る。
普段のしっかり者で、こんな事言う子じゃないんだけど…。
意外な一面を見れたな〜。
かわいい(^^)
そして、無意識のうちに俺たちは指先ではなく、お互いの手のひらを合わせ、しっかり手を握り合い、繋いでいた。
館内のレストランで食事している時も、ずっと楽しそうな宮田さん♪
美味しそうに食べる姿が、とてもかわいい♡
思わず「あぁ、かわいいな〜。ホントに」とつぶやくと宮田さん「か、かわいい…。恥ずかしい、です」と頬を赤く染め、照れてしまった。
ますますかわいいなぁ〜(^^)
正直、抱きしめたい…。
水族館を満喫した後、隣接する海浜公園を散歩。
その間も俺たちはずっと手繋いでいる。
と、その時。
宮田さんが段差につまずいて転びそうになったので、とっさに抱き寄せるようにして、転ばないように支えた。
俺「大丈夫?」
宮田さん「はい、ありがとうございます…」
宮田さんは恥ずかしそうに顔を赤くしていた…。
俺「よしっ、乗ろう!」
宮田さん「はいっ(^^)」
俺たちは公園内にある、観覧車に乗った。
俺「楽しかった?」
宮田さん「はい、とても楽しかったです(^^)」
「…」
「…」
並んで座り、ひと言だけ言葉を交わした後、お互いに無言になる。
ゆっくりと上がって行く観覧車。
日が沈もうとしている。
昼でも夜でもない、夕暮れになろうとしている空は昼と夜の、時間の狭間で幻想的な雰囲気を醸し出している。
まるで、某メガヒット映画(新海誠監督作品、君の名は。)の名シーンのように…。
俺「宮田さん、右手を出して」
宮田さん「えっ…⁉」
俺「ほら、早く」
宮田さん「はい…」
俺の言われるがままに、右手を差し出す宮田さん。
「…」
俺は用意していたサインペンで、彼女の手のひらに文字を書き、そっと手のひらを閉じさせる。
俺「手のひらを開いて見て」
宮田さん「はい…」
彼女は恐る恐る、ゆっくりと指を開いていく。
そして…。
「…!!」
宮田さんは手のひらに書かれた文字を見て驚き、そしてジッと見つめている。
その見つめる手のひらには…。
「すきだ」
こう書かれていた。
俺「これが俺の、偽りの無い宮田さんヘの気持ち」
「他人がやりたがらないような、面倒くさい事でもイヤな顔ひとつしないで黙々と頑張って、いつも俺を支えてくれる宮田さんに、いつの間にか惹かれてた」
「さらにイメチェンして素敵に宮田さんを見て、正直心を奪われた…」
「好きだ、宮田さん。俺と、付き合ってほしい…!」
俺は夕暮れの幻想的な雰囲気のなか、観覧車が頂上に達したとこで想いを告げた。
「…」
「…」
「はい。私でよければ、喜んで」
「近くて遠い憧れの存在で、叶わない恋だと思っていたのが、夢のようです…」
宮田さんは手のひらを見つめながら少し間を置いて、そして視線を上げ俺の目をジッと見ながら、俺の想いを受け入れてくれた。
その目には、うっすら涙が浮かんでいる…。
「…」
「…」
無言で見つめ合う俺たち。
そして、彼女は静かに目をつぶる。
俺は彼女の腰に手を回し、肩を抱き寄せ顔を近づけ…。
俺「…」
宮田さん「ん…」
俺たちは抱き合い、唇を重ね合った…。
宮田さんは最初、緊張して小さく震えていたけど、次第に落ち着き腕のなかで、俺に身を任せてくれた…。
(好きだ、ずっと一緒にいたい…)
しばらくして唇を離すと、宮田さんは恥ずかしそうに頬を赤く染めていた。
宮田さん「ずっと憧れていた立花さんと、一度だけデートできただけでも嬉しかったのに、告白されて。さらにキスまで…。本当に夢のようです」
「これからよろしくお願いします…(^^)」
「あっ、ちなみに今のが私のファーストキスです♡ドキドキして心臓が壊れるかと思いました☆」
「何だか身体中の力が抜けてきて、フワフワした不思議な感じがしましたし…」
俺「これからよろしく、宮田さん!」
「で、さっきのが宮田さんのファーストキスだったんだ。それ聞いたら、またドキドキして来た…w」
宮田さん「ふふっ♪」
俺「ははっ♪」
俺は思わず笑い合った(^^)
そして観覧車から降りた俺たちは、お互いの指をしっかり絡めた「恋人つなぎ」をしていた。
観覧車の頂上で昼と夜、ふたつの刻がひとつになったように、俺たちもお互いの想いがひとつになり、恋人同士となった。
宮田さん改め里奈、これからよろしく!
たくさん思い出を作ろうな…(^^)
〜終わり〜
☆あと書き
新海誠監督作品、映画「君の名は。」の名シーンのような告白ですが、彼女が君の名は。を始め、新海さんの映画が大好きな事を知っていたので、告白は「これで行こう」と決めました。
里奈は「一生忘れられない告白になって、感動した…。ファーストキスは緊張と嬉しさと夢見心地で、心臓壊れそうになったし…。今でも思い出すとドキドキして来ちゃう…♡」って言ってます(^^)
そんな里奈は君の名は。のヒロイン、ショートボブの宮水三葉ちゃんに似ていて、僕は立花瀧くんに似てるって言われます。
なので、ふたり並ぶと「実写版 君の名は。」って感じにw
written by TAKI
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大好きな愛妻とのエピソード、あと学生時代の思い出話しも書いてます。