好きじゃないなら、そんな優しくしないでください。③

好きじゃないなら、そんな優しくしないでください。③

そして、待ちに待ったスポーツ大会当日。みんな可愛い髪型しているけど、私はバスケに出場するからあまり乱れないように高めのポニーテール。先輩とは写真は放課後撮る約束をしたから、朝は余裕に出来た。私はヘアセットが得意で何人のも友達にヘアセットの予約が入っていたためふわふわのおだんごにしたり、高めのツインテールにしたり、巻いたり。本当に楽しかった。そして、校内放送でスポーツ大会の開会式が始まり、競技開始となった。先輩は3組。残念なことに先輩のクラスと私のクラスが予選で戦う競技は1つもなかった。でも、互いに時間があるときは応援しに行くと約束をしました。さっそく第一試合男子バレーで先輩のクラスが出場します。先輩はハンドボールに出場するので、バレーは応援よりも観戦でした。体育館のギャラリーから先輩のクラスを見ます。先輩は大きなカメラを持ち、みんなのことを写真に収めてました。先輩が一瞬こっちを向いたから私は手を振ろうとしたらすぐに違う方向を向いてしまいました。なんだか避けられた気持ちで悲しくなって、私はその場でしゃがみ涙をこぼしてしましました。友達には「大丈夫だから！目、悪いんでしょ？」と慰めてもらいましたが、やっぱり悲しくてつらかったです。そして40分くらいして私が出場するバスケの試合が始まりました。ステージを見ても、ギャラリーを見ても先輩はいませんでした。でも、私はどこかで先輩が見てると思いながらプレーをしていたため、シュートを入れ続けました。1回戦は10-2で圧勝しました。体育館を出た時、ちょうど先輩と会いました。でも、やっぱりこっちを向きもせずにどっかに行ってしまいます。目は合うのに、手は振れない。このどきまぎした感情がすごく気持ち悪くて、何度も目が潤いました。

そして、先輩が出場するハンドボールの試合が始まりました。私は体育館外にあるすのこからそっと先輩のことを見てました。すると、頭上から・・・、
「3年3組ってイケメン沢山いるよねー！特に、S先輩とか！！」
私の胸はズキンと矢が刺さったみたいな衝動になりました。そろりと声のした方を見ると、男子たちが可愛いと噂していたNちゃんがいました。Nちゃんは私が先輩を好きと知らないのか友達に自慢気に先輩のことを話していました。もしかしたら、先輩はこんな私よりもNちゃんみたいな子が好きなのかな・・・。先輩のかっこいいプレーを見るたび余計に思ってしまって、視界がぼやけてしまいます。隣に座っていた友達が私に気づき、私の手を引っ張って別の場所に連れてってくれました。
「泣かないでよー。あの子でしょ？6組のNちゃんでしょ？？」
「先輩も私よりNちゃんの方がいいんだよ・・・。」
「なちゃんの方がたっくさん努力してる！私が先輩だったら自分のために努力してくれるなちゃんを選ぶよ！」
友達のフォローにまた慰めてもらい、なんとかその場から離れることが出来ました。

バスケのプレーも先輩のことでもやもやしていました。対戦相手は3年生で強いチームだとか。私はシュートがなかなか入らず、でも友達がたくさんシュートを入れてくれてくれたため点差が開いてました。相手側のゴールでボールの接戦があり、そのとき先輩はゴール下で私たちの試合を見ていました。先輩が見てる、緊張感と嬉しさで私は何回もシュートを試みました。しかし、全部外してしまい、結局その試合では私は1シュートもできないまま終わってしまいました。

そして、順調に試合が続き放課後に近づいてきました。私は教室に戻るたびに先輩に返信していて、先輩も暇なときに私に返信してくれました。無事、1日目の試合が終わり、先生たちが会議で50分くらいの休憩ができました。私は友達と仲良く話していたら、
「なちゃんいる？？今だったらS君と写真撮れるよ！！」
なんと3年の先輩がわざわざ私のもとに来てくれたのです。先輩は私が準備できていないまま、私の腕を引っ張り3年フロアへ連れて行ってくれました。3年フロアでしばらく待っていると、クラスから先輩が出てきて、私はドキドキが最高潮に達していました。
「は、はじめまして！急にごめんなさい！！」
「大丈夫だよ！えと、写真撮るんだよね？」
「は、はい！」
しかし、私は手ぶらで来たためスマホは持っていなく、先輩も急な呼び出しだったからスマホを持っていませんでした。廊下で先輩と私がいるから、周りには3年生の先輩たちがちらちらと私と先輩のことを見ていました。恥ずかしさや緊張でどこかの穴に入りたいくらい・・・。結局、写真は私の女の先輩のスマホで撮ることになり、私と先輩は色んな人に見られながら写真を撮りました。先輩のクラスの入り口では先輩の友達がニヤニヤしながらこっちを見ていました。そして、撮り終わり、
「あいつら、めっちゃこっち見てたよね。」
「本当に急に来てしまってごめんなさい！！」
「全然大丈夫だよ！じゃあね！！」
そう言って先輩は自分のクラスに帰ってしまいました。私は写真を撮ってくれた先輩に感謝し、友達と自分の教室に帰りました。ずっとドキドキしていて、顔も真っ赤で恥ずかしかったです。
『写真本当にありがとうございました！
　あの、わがままなんですけど明日も撮ってくれますか？
　2人きりで撮りたいです！』
私がそう送ると1分もしないうちに、
『了解です！
　俺も2人きりで撮りたい！』
と返信が来て胸の加速がもっと早くなりました。早く、明日にならないかな、そう思いながらスポーツ大会1日目が幕を閉じました。　　【続く】

written by なすの。