近づくキモチ

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同じ高校のバスケ部の彼と付き合い始めて1ヶ月。
お互いにはじめての彼氏(国見くん)と彼女(志木)で、メールではラブラブなのに、学校で会うと素っ気ないように見える彼のことが気になっていました。

でも、彼からの告白だったこともあり、私が勇気を出す番かなと思い、クラスが違う彼のもとへ休み時間に会いに行きました。

教室のドアの外から彼の友人に声をかけ、彼を呼んでもらうと、私に気づいた彼が無表情で近づいてきて、「なに?」とだけ。
メールでの雰囲気とは違う彼に驚いてしまったけど、頑張って「休み時間だけでも一緒にいたいから。」と告げました。

彼は頭をかきながら下を向いて「夜メールするのじゃダメ?」と小さな声で言い、私が何も返事をしないうちに席に戻ってしまいました。
彼の友達が「彼女(といなくて)いいの?」と言ってくれていましたが、私の方を向いてくれる様子がなかったので、そのまま自分のクラスに戻りました。

なんで目を見てくれないんだろう。
なんで冷たい態度なんだろう。
やっぱり背丈の変わらない髪の短い私だと彼女として嫌になったのかな。

不安ばかりが募ってしまい、彼の気持ちさえも疑ってしまっていました。

彼は相変わらず、メールでは優しくて冗談を言い、いつも通りでしたが、私はモヤモヤした気持ちが晴れず、メールの返信が遅くなったり、返せないことも増えました。

修学旅行が近づき、女友達の中では恋バナに花が咲くことが多くなりました。
1ヶ月以上付き合っている私たちは、まだ手を繋ぐこともキスしたこともありませんでしたが、友人たちはもう私たちがそういう関係だと思っているようで、否定もできませんでした。やっぱりみんなそう思うよねと、私の彼への気持ちは、不安より不満に近いものに変わってしまっていました。

たまに彼と廊下ですれ違うと、彼は私の態度に気づいているのか心配そうな目線を送ってきていましたが、私は彼を見ると泣いてしまいそうで、まるで無視しているかのような態度をとっていました。

修学旅行は沖縄でした。
クラスが違うので、彼とは基本的に別行動でしたが、ホテルだけは同じでした。
夕方、ホテルに着くと、友達は先生に見つからないように同じクラスの男子の部屋に出かけて行きましたが、私はもちろんそんな気分にはなれず、ホテル内のテラスで一人海を見ていました。

夕焼けの海が綺麗で波の音がモヤモヤを消してくれる気もしましたが、やっぱり彼に会って、彼の口からちゃんと気持ちを聞きたいなと思いました。たとえ私のことをどう思っていても…。

「志木さん?」
テラス席に座る私を見つけて後ろから声をかけてくれたのは国見くんでした。
私は少し涙ぐんでいたようで、国見くんが驚いて近寄ってきて、「どうしたの!?大丈夫!?」と自然に私の横に座ってきたのです。

心配してくれるいつもの優しい彼に安心した途端、涙がたくさん溢れてきて、「国見くん、私のこと、まだ好き?」と聞きました。

彼はすごくすごく申し訳なさそうに言葉を選びながら、私に話してくれました。
付き合うことが初めてで、私にどう接していいのか分からなかった。教室で呼び出されたとき、近くで顔を見たら可愛すぎて恥ずかしくなって素っ気なくしてしまった。友達に彼女の存在を知られて照れてしまったと。

彼は「ごめん。」とつぶやいて、私の涙を指で掬い、「ちゃんと好きだよ。どうしようもないくらい好きだ。」と言ってくれました。
その言葉のあとに照れて真っ赤になっている彼が堪らなく愛おしくなり、私からそっと短い触れるだけのキスをしました。

彼はすごく驚いて、そのあと、私の手を握って、優しいキスを返してくれました。

すっかり夕食の集合時間に遅れてしまい、みんなの前で、先生に半分からかわれながら怒られたので、そのあとは、彼もみんなの前で私と接することが恥ずかしくなくなったみたいでした(笑)

written by non37

エピソード投稿者

non37

女性 投稿エピ 8