私は羽山雪乃アラサーに一歩手前の27歳。
恋人もいない・・・。
あだ名は、地味なメガネ女
そして大好きやったデザイナーの仕事も先月に首になった・・・。
そんな私に母はついに堪忍袋の緒が切れたんやろなぁ・・・。
「雪乃、明後日の日曜日にお見合い決定やから!」
恋人もいいひんし、仕事も首になってしもうて
私は今ニート状態なわけ・・・せやから断る理由もなく、親に逆らえるわけもなくお見合いを受けることになった・・・。
「うんわかった・・・」
「お相手の方、条件的にも外見的にもめっちゃ良い人やから雪乃絶対に成功させるんやで!!」
「お母さん相手の人に会ったことあるん?」
「当たり前やろ。大事な娘の結婚相手やで?しっかり会って話した上で、相手はあの人に決めたんやから」
「そうなんや・・・お母さんありがとう」
私のためにちゃんと選んでくれたんやなお母さん・・・。
「せやから、あの人と結婚するんやで雪乃。断ったりしたら許さんで」
「せやけど、お互いに気が合わんかったりしたらどないするん?合わへんのに結婚しても幸せになれへんやんか・・・」
「そんなに心配せんでも大丈夫やって。相手の人、ええ人やから。雪乃も好きになるで。お母さんが保証するわ」
「お母さんがそんなに勧めるんやったら、ホンマにええ人なんやろなぁ。私、なんか会うの楽しみになってきたわ」
「そうやろ?ホンマに楽しみやわ」
そしてお見合い当日になった・・・。
お見合い当日の日・・・。
私の目の前には綺麗な着物が・・・。
やっぱりお見合いやから着物やと思ってたけど、これホンマに私が着るん?豪華で綺麗な着物やから私に似合うやろか?不安でしゃあないねんけど・・・。
「雪乃この着物綺麗やろ?雪乃に似合いそうなん選んだったから。あと今日はそのダサい伊達メガネはつけたらアカンで!」
「うんホンマに着物綺麗やなぁ。私に似合うとええけど・・・。メガネしたらアカンの?」
「アカンに決まってるやろ?雪乃は可愛いのに、なんで伊達メガネなんかつけるん?つける必要ないやろ?前から疑問に思っててんけど・・・」
「私は可愛くない!!お母さんから見たら可愛いんかも知れんけど私なんか可愛くないねん・・・」
「超ネガティブやな雪乃は。雪乃いつからそんな性格になったんや?おしゃれもせえへんようになって・・・昔はよく笑う明るい雪乃やったやんか・・・。なんかあったんか?」
「別になんもないから心配せんといてお母さん」
「ホンマか?まぁそれより、はよ支度せなアカンな。雪乃着替えるで!」
「お母さん苦しいねんて!そんなに締めんといて!」
そんなに帯締められたら、なんも食べられへんくなるやん・・・。
「なに言うてるん?帯はちゃんと締めんと着物はだけてくるんやで?雪乃はええんか?嫌やろ?」
「それは嫌や・・・」
「やろ?そうやったら、もう少しの辛抱やで雪乃」
「うん。がんばるわ・・・」
そして着物に着替え終わった。
「次はメイクやな。雪乃はよ、こっちおいでお母さんが日本一綺麗にしたるから」
日本一って・・・それは無理やと思うで?
「うん。よろしく」
「ほら鏡見てみ?雪乃は可愛くて綺麗やろ?お母さんの子なんやから当たり前やけど」
そして私は恐る恐る鏡を見た・・・。
そこには控えめに見ても可愛くて綺麗な自分がいた・・・。
私ってブサイクやなかったん?
奴は私にそう言ってたやんか・・・。
「これホンマに私なん?」
「なっ可愛いし綺麗やろ?」
「うん・・・お母さん綺麗にしてくれてホンマにありがとう。私めっちゃ嬉しいわ」
「喜んでくれてお母さんも嬉しいで。じゃあそろそろお見合い会場行こか雪乃」
「うん」
そしてお母さんと一緒にお見合い会場に向かった・・・。
そして私と母はお見合い会場となる料亭の個室の一室で、お相手一行を待っていた・・・。
「なぁお母さん」
「ん?なんや?」
「お父さん仕事で来れん感じ?」
「そうやねん!大事な娘のお見合いの日くらいお休みもろうてって頼んだんやけど、今忙しくて無理やねんて・・・ホンマに残念やわ」
「あのお父さんのことやから、そうやと思ったわ・・・。じゃあ相手の人に謝らなあかんなぁ・・・」
「せやなぁ・・・お母さんが相手の人に説明するから雪乃は気にせんでええで」
「うん。ありがとうお母さん。それにしても相手の人来るん遅ない?」
「ホンマやな・・・こっちに来る途中でなんかあったんやろか?」
母とそんな話をしていたら部屋の襖が開いた。
「羽山さん偉い遅なってすみません」
相手のお父さんだろうか?60代くらいのダンディなおじさんが、やって来た。
なんか、このおじさん見たことあるような気がするんやけど・・・?
気のせいやろか?
「横山さんええんですよ。それより丈一郎くんはどこに?」
ん?丈一郎?
さっき横山って言ってたやんな?
ってことは私のお見合い相手って
私のことブスって言い、トラウマにさせた張本人の横山丈一郎ちゃうん?
それとも同姓同名の別人なんか?
「それが仕事の都合で30分くらい遅れる言うて、さっき連絡あったんですわ・・・。ホンマにすみません」
「仕事やったら、しゃあないやないですか。事故とかやなくて安心しました」
「ありがとうございます。丈一郎ホンマに遅いな・・・。それにしても雪乃ちゃん久しぶりやなぁ。相変わらずべっぴんさんやな。せやけど雪乃ちゃんが丈一郎のお嫁さんになってくれるなんて、おじさん嬉しくて涙出てくるわ」
やっぱり丈一郎のお父さんやったんか・・・。
「お久しぶりですおじさん。べっぴんさんなんて嬉しいこと言ってくれるんですね」
「ホンマのこと言うてるだけやで?雪乃ちゃん」
「ふふっおじさんありがとう」
「偉いすみません遅れました」
息を切らして急いで部屋に入って来たのは紛れもなく丈一郎やった・・・。
「遅い!大事なお見合いの日やのに」
「仕事でトラブルがあったんや。しゃあないやん親父」
そう言えば丈一郎の仕事って何軒かホテル経営してて、その社長らしいってお母さん言ってたな。
丈一郎が社長?見えへんなぁ・・・。
「そのトラブルっちゅうんは解決したんか?」
「俺やし当たり前やろ!」
丈一郎は相変わらずの俺様やねんな。
あの頃と全然変わっとらんわ。
変わったこと言うたら、少し背が伸びて大人の男の魅力が増したところやろか?
あの頃もイケメンやったから女子にモテモテやったけど、今でもモテてそうやな丈一郎は・・・。私と違うて・・・。
「丈一郎くん久しぶりやね。会社なんともなくてホンマによかったわ」
「おばさんありがとう。でもホンマに遅れてごめんなさい」
「ええんよ。それより、うちの旦那の方が問題なんよ。仕事忙しくて可愛い娘のお見合い出席できへんって言うて欠席するし・・・こっちこそ両親揃ってなくてごめんなぁ・・・」
「幸子さん、なに言うてるんや?仕事は大事やで。秀治はそう言う奴やし、しゃあないって!それにこっちは俺1人で片親やしなぁ・・・」
幸子と秀治は私の両親のこと。
「太郎さんありがとう。せやけど太郎さん男親1人で丈一郎くん育てるん大変やったんちゃう?仕事と子育ての両立は女のうちでも大変やと思うわ。こんなに素敵な丈一郎くんに育ったんは太郎さんがいたからやな・・・太郎さん立派やわ」
太郎さんとは丈一郎の父親のこと。
そうやった。丈一郎ってお父さんしかおらんかったってことを・・・。
たしか、丈一郎が小学2年の時に交通事故にあって亡くなったそうや・・・。
「幸子さん、そんなに褒めてもろてもなんも出てこうへんで」とおじさんは大きく笑った。
「コホンっ!」とわざとらしく咳をする丈一郎
「ああすまん。お見合いの続きしよか」
「では改めまして・・・横山丈一郎です」
そしてなぜか私も自己紹介をうながされ応えた。
「羽山雪乃です・・・って知り合いやねんから、今さら自己紹介とかいらんやろ?丈一郎・・・」
「それもそうや・・・それにしても雪乃久しぶりやなぁ。何年ぶりや?中学卒業してから1回も会ってへんかったからなぁ・・・」
その原因を作ったんは丈一郎やけどな!!
「ホンマに久しぶりやわ・・・で、なんで私と丈一郎がお見合いすることになったんか今すぐ説明してくれん?」
「おっと・・・雪乃ちゃんごめん。急用が入ったから俺はこれで失礼するで」
「おおーっと私も急用できてしもうたから、すぐ行かなアカンわ。ってことで2人でお見合いの続きしといてな。じゃあねん~♪」
え?お母さんにおじさん?それ嘘やろ?
2人とも嘘つくん下手すぎやで?
そんなに丈一郎と2人きりにさせたいんか?
「雪乃見たか?親父たち嘘やって丸わかりやったな」とお腹を抱えて笑った。
「あの人達ホンマに嘘つくん下手くそやわ。それより・・・はよ説明!!」
「俺らもうすぐ三十路やろ?」
「せやなぁ・・・で?」
「親父にそろそろ結婚せえって毎日言われてたんやけど」
「うん」
「俺付き合ってる彼女おれへんから結婚なんてそもそも無理やろ?」
ほう・・・丈一郎彼女おらへんのか?
「せやなぁ」
「どないしよかと思ってた時におばさんに偶然会ってん」
「へーそれで?」
「雪乃のこと聞いたら雪乃も今付き合ってる彼氏おらへんって言うてたから、これはチャンスやなと思うて」
「チャンスって結婚の?」
「ああそうや。なぁ雪乃俺と結婚せえへん?」
「謹んでお断りします」
「えっなんでや!」
それを丈一郎が言うんか!
過去に丈一郎が私にしたこと、すっかり忘れてしもたんか?
私は丈一郎のせいで傷ついた言うのに・・・。
「もしかして好きな男でもおるんか?」
そう言う問題ちゃうわ!
「おらんよ・・・でも丈一郎と結婚なんてせえへんから」
「おらへんねんやったら、俺でええやろ?顔もそないに悪ない思うし、雪乃俺のなにがアカンねん?」
顔ね・・・カッコイイで丈一郎♪なんて私が言うとでも思ってるんか?丈一郎は・・・。
なにがって自分の胸に手ー当てて聞け!!
「顔のことなんか言うてへんやろ。丈一郎が昔、私にしたこと忘れてへんから・・・」
「俺が昔、雪乃になんかしたんか?」
「それすら覚えてへんねんやったら、もう話すことなんてないわ」
そして私は部屋を出ようと襖に手を掛けた。
「雪乃」
そして私はなぜか丈一郎に後ろから抱きしめられていた・・・。
「ちょっ・・・丈一郎なにしてるん?離してや!」
「嫌や・・・離したら雪乃俺から逃げるやろ?」
うん全力で逃げるで?当たり前やんか!
「・・・丈一郎いつも女にこんなことしてるんか?たいした男やなアンタは・・・」
「アホかそんな訳ないやろ?俺は雪乃のことが・・・」
ん?私のことがなんやって?
「なんなん?丈一郎、はっきり言ってくれんと全然わからんねんけど」
「じゃあはっきり言うから、耳かっぽじって聞いてや雪乃」
「わかった・・・」
「俺雪乃のことが好きや。中学ん頃からずっと好きや」
は?今なんて言った?
丈一郎が私のこと好きやって?
ありえんやろ・・・。
「聞き間違えたかも知れんから、もう1回言ってくれる?」
「せやから雪乃のこと好きやって・・・伝わらんか?」
伝わらんわ!
ホンマに私のこと好きやったら、あんなこと言わんやろ普通・・・。
「悪いけど信じられんわ。中学ん時丈一郎私に言ったやろ?ブスや言うて・・・」
「あれは冗談やで?」
「は?冗談で言ったやと?会う度に言われたら本気にするやんか!」
「そう言うことやったんか!俺が言ったことが原因で伊達メガネするようになったやろ?雪乃」
「そうや!ブスな顔晒したらアカン思って・・・丈一郎のアホ!冗談やったら冗談って言ってくれんとわからんやんか・・・」
「ごめん雪乃・・・。そんなに雪乃を傷つけてるなんて気づかんかった・・・。ホンマにごめんな。雪乃はそのままでめっちゃ可愛いねんで?俺が保証するわ」
丈一郎はそう言って、さっきよりも強く抱きしめてきた。
「苦しいって丈一郎・・・わかったから離してや!」
「嫌や・・・まだ雪乃の返事聞いてへんからな。聞くまで離さんで」
「・・・」
「雪乃返事聞かしてや」
「丈一郎のこと忘れたくて他の人と付き合ったけど丈一郎のこと忘れられんかった・・・今でも丈一郎のこと好きや」
「なんて?」
「せやから丈一郎のこと好きやって言ってんねん。文句あるん?」
「文句なんてある訳ないやろ?俺も雪乃のこと大好きやねん!せやから一生雪乃のこと離さんけど、その覚悟できてるか?」
丈一郎私のこと一生離さんといてや?
「私も丈一郎に一生くっついて行くけど、その覚悟できてる?」
「ははっ。俺は覚悟できてるで」
「私もや」
「じゃあ改めて言うな・・・」
「うん」
「雪乃さん一生幸せにするんで俺と結婚して下さい」
そう言って丈一郎は私の目の前で膝まづき私の手を取りその手にキスをした・・・。
「絶対に幸せにしてくれるん?」
「当たり前や。俺以外に雪乃を幸せにできる奴なんておらんねんから」
「約束やで丈一郎」
「ああ。約束や。雪乃のこと世界一幸せにしたるから」
そして私と丈一郎は半年後に結婚しました・・・。
written by 桜川椿
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