これは高校一年生の8月の出来事。
「相川…だよな?」
「尾倉……」
私はとある再会をした。
それは……中学の頃、私が想いを寄せていた尾倉。
ー去年の夏ー
扇風機の音と虫の音が教室に響き渡る。
「じゃあ……尾倉」
「……2番はウ!」
「……問題よく読んだか?」
「え?」
「これは誤っているものを選ぶんだ」
「あぁっ!」
先生とそんなやり取りをする尾倉を見てみんなが笑う。
私も同じ間違いをしてしまった。でも、尾倉と一緒ならなんだか嬉しい。
クラスの良きムードメーカーでもあり、リーダーシップもある。それでいて、意外と優しい一面も備えている。
そんな彼に私は惹かれていった。
でも、私は彼に想いを伝えられないまま卒業し、別々の高校に進学。
もう同窓会しか会う時はない。
キッパリと諦めて高校で新たな恋を探すつもりだった。でも、彼以上の人は現れなかった。
そんな矢先、地域の夏祭りにクラスのみんなで来ていたところ、なんと再会を果たしてしまったのだ。
「久しぶり……だな」
「そう…だね」
なんだかぎこちない。元々特別仲が良かったわけでもないけれど。
「浴衣……可愛い。あと、髪下ろしてるのも…似合ってる」
彼は頬を赤らめてそう言う。
「あ、ありがと」
私も照れてしまった。
そんな時、物陰から見つめるある男子がいた。
相川 彩に想いを寄せるクラスメイトだった。
「相か……」
そう呼びかけようとするも、見知らぬ男と話しているため、躊躇し物陰に隠れた。
その事には2人とも気づかない。
「なぁ、ゆっくり話さない?久しぶりだし」
「うん……いいよ」
それからお互いの高校生活について雑談を交わした。
部活動や友達のこと、先生のこと。話題は尽きなかった。
「あのさ……彼氏とかいんの?」
「……いないよ」
そんな中、恋愛の話にうつる。
「俺……中学の頃ずっと好きだった。今も……ずっと心のどこかで好きな自分がいる。」
「え……」
「付き合いたい……ダメ…か?」
数秒後、私は頭を横に振った。
「ダメなんかじゃない。私もずっと……今も好きでいる。」
「相川……」
そうして尾倉は私を抱きしめた。
「大好きだよ、駿。」
「俺も大好き、彩。」
世界で一番大好きな君に
出会えたこと、再会できたこと
それは運命といっても過言じゃない。
最高の夏祭りをありがとう、駿。
written by まや
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