君と永遠、夏恋花火

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──夕飯後。


ふたり縁側に腰を下ろして、色とりどりの手持ち花火を楽しんでいると、あっという間に少なくなっていく花火。


あと二つだけ残る線香花火に、これで最後かと寂しくなっていると──…


「ねぇ」


終わった花火をバケツに戻しながら、夏琉(ナル)くんが口を開く。


「んっ?なに?」

「線香花火。どうせなら、どっちが長く持つか勝負しようよ」

「んふふ、いいよ」


夏琉くんの手から、線香花火を笑って受け取る。

さっきまで沈んでいた気持ちを、一瞬で弾ませてしまう夏琉くんは、まるで魔法つかいみたいだ。


そう──思ったのに。


「あ、ちなみに。負けたら罰ゲームが待ってるからね」

「え!罰ゲームって……!?」

「ふふ。それは負けてからのお楽しみ〜」


いたずらげにニッと笑う夏琉くんは、まるで頭につのが生えたデビルのようで。


「あ……っ、」


夏琉くんの横顔によそ見しているうちに、線香花火の玉は、ポタっと地面に消え落ちる。


「あはは、僕の勝ちー」

「ずるいよっ。罰ゲームって聞いたら、気になっちゃうもん……!」

「別にずるくはないよ~。よそ見してた想那(ソナ)が悪い」

「う……、」

「さて、約束どおり。罰ゲームしてもらおっかな」


楽しそうに笑う小悪魔な夏琉くんから、一体どんな罰ゲームが言い放されるのだろうと、喉をごくりと鳴らして身構えていると。


「──僕のことキュンとさせるまで、罰ゲームは終わらない罰ゲーム。さぁスタート!」

「えっ……え、えぇっ!?」


内容もちゃんと把握できないまま、いきなり始まる罰ゲーム。

あたふたしながら夏琉くんを見つめるけど、じっと目を合わせるだけで何も喋らない。


しだいに交わっているのが恥ずかしくなって、視線を足元に移した、その瞬間──…


綺麗な指先によってクイッと顎を持ち上げられて、真剣な眼差しの夏琉くんに見下される。


「なんで今。目、そらしたの?」
「……っっ、」


キュンとさせるつもりが逆にどきどきさせられ、かぁっと顔中に熱が上っていくのが自分でも分かる。


「……あーあ、参ったなぁ。罰ゲームして欲しかったのにさ、そんな可愛いく照れられると許しちゃうじゃんか」


今度は背中に手を両方まわされて、夏琉くんの甘い匂いにふわりと包み込まれた。


「な、る、くん……?」

「好きだよ」


耳元に甘い声を落とされながら、抱きしめる腕にぎゅうっと力を強くこめられ、とけそうになるほど体が熱くなる。


「えっ……!ど、どうしたの……急に!?」

「へへ、なんかふと言いたくなって。あーでも、こーいうの超照れる……ね」


体がそっと離されて、視界に映り込む夏琉くんのほっぺは、ほんのりと線香花火と同じ色に染まっていた。


「来年も再来年も、ずーっとフタリで花火しようね」


約束、と夏琉くんの小指が立てられ前に差しだされる。


風に揺られる風鈴が涼しげに音を立てるのとは対極的に、私の心臓はさわがしく音を立てた。


“どうか夏が終わっても、春夏秋冬ともに夏琉くんとずっといられますように”

“私たちの線香花火は、ずっと続きますように”


そう心のなかで願いをこめながら、夏琉くんの小指に自分の指も絡ませるのだった──…。



❦ℯꫛᎴ❧

written by :*✿ひめりぃ✿*:

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:*✿ひめりぃ✿*:

女性 投稿エピ 41

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