片思いの女の子と、不意に雨宿りして。

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これは俺(立花義行、仮名)が高2の時、梅雨の季節の話しです。






放課後になり、俺は帰宅するために校門を出て歩いていた。
今日はサッカー部の練習はオフ。


(ヒマだし家帰ったら、ゲームでもやろうかなー)

そんな事を考えていたら…。





「あれっ、雨…⁉」

ポツポツと、空から雨粒が落ちて来た。
予報じゃ、今日は雨降るなんて言ってなかったはずだけど。

そして、一気に雨脚が強まり土砂降りに…。



(マジかよー!)

俺は雨宿りするために、急いで駆け出す。
ここから近くの公園のベンチに、屋根がついてる場所があったはず。

ダッシュしてその場所ヘ向かうと…。






俺「あれっ、宮川さん⁉」

宮川さん「あっ、立花くん」

そこにはうちの高校の制服を着た女の子がいた。
その女の子は宮川みゆき(仮名)さん。

GW明けに転校して来て、クラスメートの女の子。
しかも隣の席。


ショートボブがよく似合い、清楚な雰囲気の美少女だ。
転校して来てすぐに男子の間で人気者に。
控えめでおとなしい性格の宮川さんは戸惑っているみたいだけど…。



そして、俺も密かに彼女に想いを寄せていた。

基本俺は恋愛に奥手なうえに、中学時代に好きな女の子にフラれた苦い思い出から、彼女とは挨拶を交わしたり、ちょっとした無難な会話をする程度でなかなか積極的にはいけない…。

そんな片思いの相手と不意にふたりきりで雨宿りする事になり、ドキドキが止まらなかった…。






俺「予報じゃ、雨降るなんて言ってなかったよね」

宮川さん「うん、そうだね…」

俺「まぁ、通り雨だと思うからちょっと雨宿りすれば大丈夫だと思うけどね」

宮川さん「うん。それにしても、土砂降りだね…」


気まずいので、とりあえず無難な会話をしたけど、その後が続かない…。





「…」

「…」

つかず離れず、微妙な距離感でベンチに座る俺たち。
ただ、あれからお互い無言だけど気まずい雰囲気ではなかった。

激しい雨が、まるで俺たちを周囲から遮断しているかのような感じがする。




片思いしている女の子とふたりきりの空間…。

(もう少し雨、止まないでほしいな…)

俺は心の中で密かに、そう願っていた。
と、その時…。







ゴロゴロ…。

雷の音が、空から聞こえて来た。


「…!!」

すると宮川さんはビクッとして、怯えたような表情をしている。


俺「大丈夫…⁉」

宮川さん「えっ⁉ぜっ、全然平気だよ☆」

一生懸命強がってるけど宮川さん、平気には見えないけど。
そんな時…。







ドーーーン!!

空が光り、物凄い雷鳴が轟いた…!


「いや〜っ(>.<)」

恐怖のあまり、悲鳴をあげる宮川さん。
そして…。








「…!!」

宮川さんが俺の胸元に顔をうずめ、ギュッと抱きついて来た…!

あまりに突然の事で、一瞬事態を飲み込めなかったけど、彼女のきれいな黒髪からただよう、柑橘系のシャンプーのほのかな香りと、密着した身体から伝わる好きな子の温もりと柔らかな感触に、俺はドキドキして心臓が壊れそうになった…。







「あっ…」

しばらく俺にしがみついて怯えていた宮川さんは、慌てて俺の胸元から離れる。


宮川さん「ごめんなさい、しがみついたりして…」

    「めっ、迷惑だったよね」


俺「いや、別に迷惑じゃなかったから大丈夫だよ」

 (迷惑どころか、ドキドキしたけど幸せだったし…) 


「雷怖がるなんて、子どもみたいなところ見せちゃって。恥ずかしい…」

そう言って頬を赤く染める宮川さん。
ヤバい、可愛すぎる…。



俺「もう雨止んだし、帰ろうかっ!」

宮川さん「うん、そうだね☆」

    「あの…。さっきは本当にごめんなさい」

俺「いや、ホントに気にしなくていいから」

 「そっ、それじゃ…!」



恥ずかしくて落ち着かなかった俺は、小走りでその場を離れて行った。









梅雨の季節になると思い出す、高校時代の甘酸っぱい恋の思い出です…(^^)

ちなみに宮川さんとは後に付き合うようになります。
あの頃、実は宮川さんも僕に密かに想いを寄せていたとのこと…。


なのであの時、不意にふたりきりになりドキドキして心臓が壊れそうだったらしいです。

その宮川さんは、今は空の上に行ってしまいましたが…。






























written by TAKI

エピソード投稿者

TAKI

男性 投稿エピ 20

大好きな愛妻とのエピソード、あと学生時代の思い出話しも書いてます。