宝物

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中学生のころから片思いしてる人と同じ高校になり3年目のこと。これまでも2回ほどメールで告白をしていましたが振られており、それでも好きでいるだけならいいかなと思い続けていました。

このころ私は男子と話すのが恥ずかしく、なんとも思っていない人や慣れてくると大丈夫なのですが、特に好きな人にはみんながいるところでは話しかけることが恥ずかしく、目を逸らしてばかりでした。

彼とは隣のクラスで、廊下側に窓があるため窓が空いていたら廊下から教室の中がみえるので、よく彼のクラスを通るときに彼がいないかチラ見をして心を満たしていました。

受験勉強のため、毎日放課後に教室で残って勉強していたある日、友達みんなが帰ってしまい、私が教室で最後の一人になりました。
その時廊下を誰かが歩く気配と視線を感じ、窓の空いている隙間からチラッと見るとどうやら彼らしき人が歩いて自分の教室に入っていくところでした。

私は「まだ残ってるんだ〜」と思いながら、私はそろそろ帰ろうかなと思い、ふと彼の様子が気になって、トイレに行くふりをして隣のクラスを通ると、彼らしき人が一人でいるのがみえました。
そのとき目があった気がしたのですが、恥ずかしくてそらしてしまい、慌てて通り過ぎました。
トイレからでて、もう一度彼の教室の前を通ると、彼が慌てて帰る準備をしていました。

もしかして一緒に帰れるかもと思いつつ、そんなわけないかと思い直し、私も帰り支度をして廊下に出るとバタバタと隣のクラスから彼もでてきました。

お互い「あ」と目があって、私は心の中ではめちゃめちゃ喜びました。
下駄箱が同じ場所なのでそこまで一緒だと喜びながらも平静を装い、靴に履き替えました。

彼「おつかれ。遅いね」
私「おつかれさま。彼くんも今日は遅いんだね。」

と話しながら、このまま彼は友達と待ち合わせでもしてて、帰っちゃうのかなあと思っていたら、なんと歩幅を合わせて隣を歩いてくれるのです。
わざわざ『一緒に帰る?』なんてこと聞けるはずもなく、(すでに2回振られており、まだ好きということがばれるとしつこいと思われるのが嫌だったため)このまま一緒に帰りたいという思いが強く、何か彼から言われるまで隣を歩くことにしました。

もともと地元が同じで彼とは一駅違いのところに住んでいるため、このままいけば最後まで一緒です。笑

彼も特に何も言わずに隣を歩きながら他愛もない会話をしてくれるので、なんとなくそのまま一緒に帰ることになりました。
もしかして彼も一緒に帰りたかったのかななど淡い期待ももちながら。笑

駅までの道のりは恥ずかしくて下ばかり見てました。何を話したか覚えてないです。

電車に乗り込んで隣の座席に座れることも幸せで、まだ夢かなと思ってました。彼はなんとなくニヤニヤしながら私の様子を見てたような気もします。周りには同じ高校の人達も数人おり、男女で一緒に帰るのはだいたいカップルしかいなかったので、周りから見たら私たちもそう見えてるのかもしれない。とドキドキしていました。
また彼はそう思われてもいいのかなと気になって、隣を見ると飄々とした顔で座ってたので、たぶん深くは考えてないのかなと思いました。

乗り換えの駅について、彼から「百貨店で文房具を買いたいからついてきて」と言われました。
正直びっくりしましたが、誘ってくれたことがめちゃくちゃ嬉しかったので「いいよ!」と喜びがバレないように答えました。
内心めちゃくちゃ嬉しかったです。

買い物は邪魔しならないように彼の後ろをちょこちょことついていました。お会計をしてるときは離れたところで待っていました。

無事買い物も終え、最寄り駅までまた同じ電車に乗りこんで、ドキドキしながら会話をしていたところ、私の最寄り駅が近づいてきました。その駅に着く前に彼が「ん」といって小さな紙袋を渡してくれました。
なんだろう? と思いながら中を見ると、チョコレートの形をしたかわいい消しゴムが入ってました。
彼は「付き合ってくれたお礼」と言っていました。ちょっと照れてるようにも感じました。
私「え?いいの?!ありがとう…!」と頭がパニックなりながらもあわててお礼を言った気がします。
そしてそのまま駅についたので手を振って電車を降りました。

買い物中はすぐ近くにいたのでおそらくお会計の時にサッと買ってくれたのだと思います。
ずっと思い続けてた人からの突然のサプライズでとっても嬉しかったです。

その後もメールが何度か続き、駅も近いので、朝一緒の時間になったりして話したりするうちに、彼から告白してもらい付き合うことになりました。結果的には高校卒業後に別れてしまったのですが、今でもその消しゴムは宝物です。

written by おもち

エピソード投稿者

おもち

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