この思いは届かないけど

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 高校生の私は一人の数学の先生に恋をしています。
 中高一貫校に通う私は中学の時からその先生を知ってはいましたが、そのときは授業を受けることはほとんどありませんでした。けど、一度だけ高校の授業はどんなものかということでその数学の先生が授業をしにやって来ました。緑色が好きで絶対ワンポイント緑は身に付けるとか数学なのに歴史人物を授業で紹介するなど、とってもおもしろくてどこか可愛い先生だな、という印象でした。そして、そのときの自己紹介でその先生は結婚してて子どもがいるということも話していました。
 中学生になって数学が苦手なことが判明した私は、高校に上がっても苦手なままで数学のことが嫌いになりかけていました。しかし高2になって、それが変わったのです。その数学の先生が自分たちの数学担当になったのです。
 その先生が始めから良かったわけではありません。優しそうな雰囲気のある先生でしたが、始めは印象よりも少しそっけない感じの先生であまり生徒と多くは関わらない方でした。私もそれで少し落ち込むことが時々ありました?でも、先生の授業はおもしろく、受ける度に数学のおもしろさに気付けたりと今までにないことをたくさん知るようになりました。
 何度か授業を受けたある日、私はどうしても分からないところがありその先生に質問をしに行きました。私は公式とか見るとなぜこの公式でこの問題が解けるんだろうとか、なんのためにコレが生まれたんだろうと考えてしまうタイプなのですが、それについて質問しても他の先生は「そんなの考えなくていいよ」と思うように教えてくれる先生はいませんでした。質問をしにいったその日、自分が分からないところを質問すると丁寧に教えてくれて、応用問題も出してくれたりと忙しいはずなのに長い時間教えてくれました。そのなかで「この公式がなんで生まれたか分かる?」と先生がそう言いました。まさか先生からそう言ってくれてくれるとは思わずとても驚きました。「知りたいです!」そういうと先生は丁寧に教えてくれてくれました。それがとっても嬉しくてその日から私はもっとその先生と仲良くなりたいっ!と思うようになりました。
 月日が経つにつれ、放課後に質問するなどが習慣になり先生との交流も多くなっていきました。その頃の先生に対する好きは先生としてが強く結婚してることもあり、そういう風には自然と思っていませんでした。
 そんなある日、私が「私もう数学だめです、、、」と先生に言いました。そのころ思うように数学のテストなど結果が残せず先生にそう伝えました。すると先生は「大丈夫、大丈夫」とたくさん励ましてくれて「この本を貸してあげるよ」と一冊の本を貸してくれました。その内容は、私のようにあることについてなんでそんなことをするのか、と物事について深く考える女の子が主人公のお話でした。その女の子は周りの仲間たちと共に一人でぶつかっていた壁を超えていき新しい世界をみつめていくという本当に私を応援しているのではないかと思ってしまうほどとてもおもしろく勇気付けられる内容でした。
 後日、先生にその本を返し「とっても勇気付けられました!」と伝えると「良かった、なんか似てるなって思ってたんだよね。」と笑顔でそう言ってくれました。その瞬間、私はその先生を本当に好きと思うようになりました。
 それ以降、先生は定期的に本を貸してくれたりとさらに仲良くなっていった気がします。次第に勉強以外ことも話せたり見かけたら手を振ったりと出来ないと思っていたことができるようになりました。
 そんな楽しい日々も今振り替えれば本当にあっという間でした。高2の終わり、先生に「来年異動とかないですよね」と尋ねると「うん、それは無いよ。学年担当は違うかもしれないけど」と言われました。異動しないことを第一に喜んだ私は来年も担当なのだろうと勝手ながら思っていました。しかし始業式の日、先生は違う学年の担当になってしまいもう授業も受けれないことが分かりました。私はとっても寂しかったのですが、先生にはその感情は伝えないようにしようと努めています。先生は「担当じゃなくても教えてあげるし、本も貸してあげるから、(私)さんはこの一年で誰よりも変わったと思うよ。」と言ってくれました。その言葉を忘れずこの一年頑張ろう!と思ってます。好きという思いは伝えれないけど伝えれない分たくさん交流してキュンキュンしていきたいな、と思う今日この頃です。学年が変わってなかなか会えないけど、明日は会えると嬉しいな...✨

written by もなか

エピソード投稿者

もなか

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