今日は土曜日で学校もお休み。
本当なら今ごろ二人でお出かけのはずだったんだけど、急きょ雨予報になっちゃって。
まったりお家デートをすることに。
さっきジュースを入れに行った千都世(チトセ)くんを、お部屋で待っていると、
「ポッキーあったから食べる?」
「うんっ、食べたい!」
ポッキーの箱を持って戻ってきた。
ジュースが入ったコップをテーブルに置くと、千都世くんは机のイスに座って、ポッキーの箱から二袋とり出す。
私の方に一袋を差し出すも、途中で何かひらめいたように千都世くんは「あ、そうだ」 と言って、手を引っ込めてしまう。
「ねぇ、恋梦(コユメ)」
「んっ?なぁに?」
「ポッキーゲームって知ってる?」
「なにそれっ、楽しそう!どんなゲームなの?」
つい好奇心のあまり食いついてしまったけど、
千都世くんがニヤリと小悪魔な笑顔を浮かべるときは、だいたい嫌な予感しかしないときなんだよね。
なんてことを考えているうちに。
千都世くんはもうイスから立ち上がっていて、ベッドに座る私の前へと立つ。
えっ、なになに……!
距離がものすごく近いのですが!?
目をぱちつかせながら見上げていると、きれいな指先で顎をクイッと持ち上げられた。
「恋梦、口あけて」
内心パニック状態になるものの、とりあえず言われたとおりに口をあけてみる。
すると、中にポッキーが入れられた。
そうして今度は、そのポッキーの反対側を千都世くんがなんとくわえ始めたのだ。
「これがポッキーゲームだよ。ね、楽しい遊びでしょ」
「……っっ!?」
もう恥ずかしさのあまり、ポッキーを口から離そうとすれば、
「ほーら、ダメだよ。先に離した方が負けだって」
逃がすまいと、千都世くんの口でポッキーを押し込まれる。
仕方なく私はあきらめて目を閉じ、ポッキーを食べ進めていく。
けど、千都世くんからはハァというため息が聞こえてきて。
「……じれったいな、」
そうつぶやかれ後には、ポキッという割れるような音が聞こえて、思わず目を開けてみると──
くわえていたはずのポッキーが、なぜか無くなっていることに気づく。
「恋梦の甘い唇をごちそうさま」
「……っっ、!」
なんとポッキーだけじゃなく、唇まで一緒に奪われてしまったようです……。
written by :*✿ひめりぃ✿*:
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