大切な存在…その後。

コンテンツ名とURLをコピーする

付き合い始めた記念日の日は、
旅行に行くのが恒例になっていました。

2年目の記念日。
彼が小学生の頃住んでいた街の近くへ旅行することに。

遠距離だった私たち。
今回は彼の家からの方が近い目的地だった為、
彼の家に車を停めさせてもらい、
いざ出発!

有名なお菓子メーカーの工場見学、ショッピングモール、そして彼の同級生が営むお菓子屋さんへ顔を出したりと、1泊の旅行をしっかり満喫!

帰り道、

『美弦、帰り長時間運転しなくちゃだから、家に着くまで寝てっていいよ~。』

彼はいつもそう言ってくれます。
お言葉に甘えて寝るときもあるけど、何故かその日は早くも余韻に浸って全然眠くなりませんでした。

高速を降りて彼の家まであと少し…

『ちょっと、寄り道するね。』

そう言って立ち寄ったのは、少し高台にある公園の駐車場。
12月の頭、その頃はもう真っ暗で眼下には夜景が綺麗に眺められました。

車を降りて、景色の良いところまで移動し、
そこから見える彼の地元を説明してくれました。

『2年前の今日さ、美弦の地元の夜景が綺麗なところに連れてってもらったでしょ?
いつか、ここに連れてきたかったんだよね~。』

彼は、生まれ育った街を眼下に眺めながら、
ゆっくり話始めました。

『今日で2年だね。
でも、まだ2年かぁ~って気持ちと、もう2年かぁ~って気持ちと。美弦とは、もっと前からずーっと一緒にいる気がするから、なんか不思議だよね。』

白い息を吐きながら言葉を続ける彼の横顔を、私は静かに見つめました。

『美弦と居ると、すごく自分が自然体で居られて、楽しくて、居心地が良くて。
2年の間にいろんなことがあったし、ダサいところもカッコ悪いところもたくさん見せてきたと思うけど、美弦だから、俺は自分のそういうところをさらけ出せたんだ。』

まっすぐ夜景を眺めていた彼はそう言って、私の方へ顔を向けて

『美弦……結婚しよっか。』

そして、私に体を向けるとポケットから真っ白な小さい箱。
その箱を開けると中には指輪が。
夜景の見える暗い場所でもしっかりその存在を主張するように、
蓋の裏側に内臓されているLEDライトが、
指輪の先端のダイヤモンドを更に輝かせていました。

『はいっ!』

その場ですぐ指輪をはめてくれて、胸が熱くなり涙が溢れました。


後から聞いた話で、
実はプロポーズをするために事前に一人で行って、
プロポーズのリハーサルをしていたんだそう(笑)


付き合い始めた記念日は、更に大切な記念日となって、
結婚した今でも、毎年プロポーズを受けた日には、その場所に足を運んでいます。

written by かめ

エピソード投稿者

かめ

女性 投稿エピ 3