彼との間に不協和音

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「え、ねえ、大丈夫?びしょびしょじゃん。待ってて、バスタオル持ってくるから!」
雨に濡れてびしょびしょに濡れていた私を見て、通りかかった親切な人が声をかけてくれた。
「え、大丈夫です」
「大丈夫じゃないでしょ。とにかく待っててね!」
「……」


数分後、バタバタと騒がしい足音が聞こえた。
「お待たせ!ほら、これで拭いて!」
そう言って私の顔を覗き込む。
「あれ?茜崎さん?」
「え、……橋本くん……」
暗くてよく見えなかったが、クラスメートの橋本春斗だった。
「どうしたの?僕でよければ聞かせて?」
にっこり微笑んだ彼は、天使に見えた。ほとんど話したことも無いのに。
「……実は」
私はこれまであったことを包み隠さず話した。親友だった雪乃とのこと。泣いていてよく聞き取れなかったかも知れないな。
「それは辛いよね。しかも、茜崎さんには全く非がないんだから余計に。……僕は、ずっとすみれちゃんの見方だよ。」
私の頭をそっと撫でてくれる。本当に彼は優しい。
「春斗?どうしたの?」
女の人の声がして、顔をあげた。

(美人さん……!)

「夕夏、ごめん。行こうか。茜崎さん、またね!」
夕夏さんに向けられた笑顔は、私に向けられた微笑みとは比べものにならなかった。

──恋人がいる彼に、恋をしていた。

written by 文月柚葉

エピソード投稿者

文月柚葉

女性 投稿エピ 1

文月柚葉と申します✨ エピソードがなんと、漫画化されました~!ありがとうございます♡ 原作より999999999999999999倍よくなってるのでぜひご一読ください♪