社会人2年目。初めての異動。
それも転居を伴うため、地元を離れて初めての一人暮らし。
新しい仕事内容。新しい環境。1からの人間関係。
不安だらけだった私のお世話役になってくれたのが彼(先輩)だった。
彼は私に優しく丁寧に仕事を教えてくれた。
仕事のお昼休みに一緒にランチを食べに行ったり
残業中にたわいもない話をしたり。
彼とは好きなお笑い芸人や好きなアーティストの話で盛り上がった。
「飲み込みが早いから教えがいがあるよ。」そう言って彼は私に笑いかけてくれる。
好きになるのに時間はかからなかった。
好きだと実感してからは、とにかく彼に褒めてほしくて
毎日必死に仕事をした。
可愛いと思われたくていつもより気合を入れて化粧をして出勤した。
「おはようございます」と「おはよう」の距離がもどかしかった。
そんなある日、街を歩いていると彼を見かけた。
「せんぱっ、、」
嬉しくなって駆け足で彼に声をかけに行こうとしたが、思いとどまった。
彼の隣には見覚えのある女性がいた。手を繋いで仲睦まじく歩いていた。
その人は私と彼と同じ部署の女性だった。
『一緒に働いていたのに全然気づかなかった‥。』
私は彼に声をかけるのをやめた。
同時に彼を好きな気持ちも蓋をして心の奥にしまった。
彼は私には向けたことのないほど、愛おしい人を見つめる顔で笑っていた。
私にとっては彼も女性も尊敬できる先輩だった。とてもお似合いだった。短い恋だった。
休みが明けて出勤したら彼にちゃんと言おう。「おはようございます。」と。
written by よも
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