王子様とチョコよりも甘い恋。

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今日はバレンタイン。


私にとって一大イベントの日。


今日こそ、大好きな瀬名(せな)先輩にチョコを渡して告白するんだ。


ちなみに瀬名先輩に恋に落ちたのは、私が階段でつまずいて、片方の上靴が脱げ落ちたのがきっかけ。


慌てて上靴を拾おうとしたところに、たまたまそこを通った瀬名先輩が気づいて、先に拾いあげてくれたのだ。


それだけで胸の奥がきゅんと熱くなったのに、瀬名先輩は私の前でひざまずくと、そのまま履かせてくれた。


まるでシンデレラのような出逢い方をして以来、瀬名先輩のことがもっと王子様に見えるようになってしまった。


でも瀬名先輩は学園一のモテ王子的存在。


だから、普通に告白しても失恋する可能性大。


そう思った私は得意のお菓子作りで、想いを伝えることに決めた。


これならちょっとは勇気を持てそうな気がしたから。


しかし、当日は計画通りには上手く行かず。


朝のうちに下駄箱にチョコを入れておこうと思ったら、すでに女子たちに先を越されてしまった。


昇降口に瀬名先輩がやって来るのを待っていたりもしたけど、すぐにまた女子がぐるっと囲み、渡せずじまい。


結局、渡すのが休み時間になってしまった。


これが最後のチャンスだと、瀬名先輩の教室に向かったてみたけれど、


『瀬名先輩っ!チョコ受け取ってください!』

「おっ!サンキュ」


廊下には大勢の女子が長蛇の列を作っており、またもや出遅れた感が満載。


これじゃあ、私の番が回って来る頃には休み時間が終わってしまう。


そう思った私は、笑って受け取っている瀬名先輩を少し離れた場所から、ただ見つめることしか出来なかった。


そんな時。


「あれ。君も、俺に用?」


瀬名先輩に声をかけられた。


女子からのチョコを全て受け取り終えたのか、いつの間にかこっちを見つめている。


「え、えっと……」


緊張しておどおどした口調になっていると、瀬名先輩の視線がふと私の手元に移る。


「もしかして、そのチョコ。誰かに渡すの?」

「え……あ、はいっ」

「だったら俺、渡しとくよ?」

「……ち、違うんです!」

「え?」

「瀬名先輩に渡したくって、ずっと待ってたんです、……す、好きだから」


俯きながら失恋覚悟の思いで、瀬名先輩の方にチョコを差し出す。


緊張で手も震えている。


「え、俺に?」


瀬名先輩の言葉にそっと顔を上げて、首を縦に振ると、瀬名先輩がそのチョコを受け取る。


そしてぐいっと体を引き寄せられ、そのまま瀬名先輩の胸に閉じ込められる、と


「俺も好きだよ。そういう素直で優しいとこ」


耳元に甘いささやきを落とした。


「……っっ、」


こうして、私のバレンタインはハッピーエンドで終わった。


その一方、廊下にいた女子からは
『瀬名先輩を取られた〜』と落胆する声で、
しばらく溢れかえったのだった。

written by :*✿ひめりぃ✿*:

エピソード投稿者

:*✿ひめりぃ✿*:

女性 投稿エピ 41

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