最高の片想い

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 それは私の高校生活、全部の想い出。
 出会いは高校の入学式。「何組ですか?」初めて出会ったときにかけられた最初の言葉です。
彼は新卒新任の教師で、新入生のクラス案内をしていました。
一目惚れでした。声をかけられて、目が合った瞬間に、「あ、私はこの人を好きになる」と、本気で思ったんです。漫画見たいですよね(笑)。
 入学式はその先生が自分のクラスの人でありますように!って必死に願ってました。
でも結局叶わず、彼は隣のクラスの副担任で、担当教科の英語も私のクラスは別の先生。
それでもあきらめきれなくて、何とか関りを持ちたくて、職員室掃除をしているときに、なんか話のきっかけにならないかなと、ひっそりとその先生の机なんか見ちゃったりして(笑)
隣のクラスにできた友達に協力してもらって、話しかけたきっかけは先生の机に置いてあったonepieceのマグカップから、「先生ワンピ―ス好きなんですか?私も大好きなんです!」と声をかけるきっかけにしました。

 そこから仲良くなるのには時間はかかりませんでした。放課後、英語を個人的に教えてもらうようになって、お礼にと昔から好きだった手作りのお菓子を持って行ったりして。
 周りから見てもとても仲が良かったと思います。だからでしょうか、ある日突然、先生から距離を取られました。急に冷たい態度をとられるようになり、もの凄くショックでした。しかしその理由は後日何となく察しました。新卒の若い教師です、一人の女子生徒と仲が良く見えるのは問題だったんだと思います。私のことを、私が知らない先生まで「お前あの先生が好きな子だろ?」とからかわれることがあったりして、あぁ目立っちゃったんだなと気づきました。

 先生を好きになるなんて漫画みたいな話で、仲良くなれて調子に乗っていたんです。でも現実は違う。先生を好きになるということは、秘密の事なんだと思い知りました。
 それが原因かはわかりませんが、2年に上がるころには先生と学年も離れ、私も以前より先生を訪れる回数は減らしました。友達には「憧れだっただけ(笑)恋愛感情なんかないよ」と嘘をつき、貫き通せば周りもやいのやいの言うこともなくなりました。
 でも本当は諦める事なんか全然できなくて、他の人を好きになろうとしても先生を見ると一発で戻ってしまって。顔が見れればその日1日元気でした。話が出来れば嬉しくてたまりませんでした。姿を見て声を聞く度、どうしようもなく好きでした。あぁもうだめだ(笑)諦めるのを諦めよう、もしこのまま卒業まで好きだったら、その時告白しよう。そう思い、私は誰にも話さず、ひっそりと三年間の片思いをすることになったんです。

 そして迎えた卒業の日。私は変わらず先生が好きでした。でもその日は結局何も言えずじまい。
 しかしその後、私が大学一年になった時の高校の文化祭、友人たちと母校に顔を出し、先生たちとあいさつを交わし、先生ともすこしお話もして。文化祭も終わりに差し掛かった時、たまたま先生と二人きりになる機会が回ってきました。言わなきゃ、そう思ってもいざとなると緊張して言えなくて、声をかけられたのは先生の去り際。「先生!」彼は立ち止まって振り返ってくれます。「ずっと、好きでした!」先生は真剣な顔で私に向き直りました。「ありがとう」彼が放ったのはその一言。あ、終わったんだなと私は悟りました。「また学校遊びに来ますね!」「うん、いつでも待ってる。ありがとう」
 私の三年間かけた片思いの告白は、一瞬で終わりましたが、「あぁやっと好きって伝えられた」それだけで十分と思えるほど、私は幸せでした。三年間、辛いこともあったけど先生がいたから、先生を好きになれたから、私の高校生活は最高の思い出で、この片思いの思い出は一生忘れることのない、私の宝物です。
 私の初恋は、一目惚れから始まった、最高の片想いでした。

 ちなみに余談ですが、今は先生に作ってたお菓子で飲食の道に目覚め、そこから接客の楽しみを知り、自分のお店を出すために頑張ってます!

written by わかな

エピソード投稿者

わかな

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