ふわり、甘く、溶かされて。

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「おねむの涼くん、朝だよ。遅刻しちゃうよ」

「んー……もうちょっと」

「3秒以内に起きれたら、もれなくギュー付きだよ。いーち、にー……」


──むくっ。


「ねぇ、涼くん。手を広げてどうしたの」

「待ってるの。このんからのギュー。
起きたから、してくれるんでしょ?」


いつもならどんな手を使っても、けして起きてはくれないほど手強い涼くん。

なのに、ギューの言葉を聞いた途端に自分から起きるなんて。


「ふふ、涼くんは私のことよっぽど大好きなんだね」


私が目を細めながらギュッと抱きつけば、背中に回される手に力が強く込められる。


「……そうだよ、大好きで悪い?」

「ううん、嬉しい。涼くんに思ってもらえて幸せだよ、とっても」

「なら、このんもこのまま一緒に寝よ?
ずっとこれなら二人くっついてられるし。
抱き枕より、このん抱きしめてた方が何倍も落ち着く」

「ううん、それはだめ」


私だって本音を言うなら、涼くんとこのまま片時も離れたくない。

でもそれじゃあ、あと少しあと少しって、どんどん甘えちゃうことになるから。


「続きはまた帰って来てからね」

「……我慢したら、ご褒美たくさんくれる?」

「うん、たくさんあげる。
だからリビングでご飯にしよう?」


縦に頷いた涼くんがベッドから降りると、私の手を取りながら部屋を出て。


二人並んで廊下を歩きながら、リビングまで向かう。 手はずっと繋がれたまま。


「今日は涼くんの好きなデザートも付けてみました」

「へぇ、それは超楽しみ。てか、」


リビングのドアの前で、涼くんがふと立ち止まる。

その様子を不思議に思いながら、涼くんを見つめる、と。


お顔だけがこっちに向いて。


「このんの料理なら基本全部好き」


そう口にした涼くんが、ふわりと笑う。

そして唇に甘いキスまで落とすから、ぷしゅーっと顔から湯気が出そうになる。


「っっ、」

「ごめん。照れた顔かわいーから、したくなっちゃった。キス」


君の笑顔を目にするたび、私の心はいつも甘く溶されていく。


綿菓子なんかよりも、ずーっと甘く──…。

written by :*✿ひめりぃ✿*:

エピソード投稿者

:*✿ひめりぃ✿*:

女性 投稿エピ 41

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