甘ずっぱくて、キュンなふたりの両片想い

甘ずっぱくて、キュンなふたりの両片想い

幼なじみの光(ﾋｶﾙ)が、“放課後、空き教室に来てほしい”と女子から呼び出しを受けたらしい。


“放課後、空き教室、呼び出し”


っていったら、告白されるパターンだよね？
完全にそれしかないよね？！


光には、先帰っててって言われたけど……。


気になって仕方がない私は、空き教室の前でこっそりと盗み聞き中だ。


……なになに？


はりつくようにして、ドアに耳をくっつける。


話し声はなんとなく聞こえてくるけど、ドアが閉まっているせいで、内容まではハッキリとわからない。


……もう、告白された後だったりするのかな。


一体、どんな子に呼び出されたんだろう。


可愛かったりする、のかな。


そんなことを頭のなかでぐるぐる考えていると、


｢ぎゃっ、！｣


寄りかかっていたドアが突然ガラッと開く。

と同時に、後ろ向きに倒れる私の背中は、光の足元であろうクッションによって支えられた。


『……うわ、びっくりしたー。
てか、どしたの。こんなとこで』


不思議そうに見おろす光と、ぱっちり目が合う。


｢ええ、えっとー……それは、ですね｣



どうしよう。


この状況は非常に気まずすぎるぞ。


ドアの前にしゃがみ込んでいるとか、もう盗み聞き決定じゃん。


なんて誤魔化そうかと必死に考えていると



｢あれ、どうしたのー？｣



光の背後の方から聞こえる可愛らしい声。


おそらく相手の子だ。


光の横からのぞかれて、相手の子と目が合う。



｢あ、そっかそっか、ごめんねー！
帰る約束してたのか｣



机に置いてたスクールバッグを肩にかけると、



｢じゃ、私帰るね！｣



そう光に伝える相手は、私にもニコッとほほ笑んでから教室を出ていく。


姿が見えなくなるまで背中を見つめたあと、隣の光に声をかけた。



｢……ごめんね、｣


『え、何が？』


｢……邪魔しちゃったでしょ、｣



相手の子、モデルさんみたいに可愛い顔してた。


あんな子から告白されたら断る理由が見つからないし、あの子の笑顔からは失恋した後のようにも見えない。


……美男美女同士お似合いのカップルだ、二人とも。


この後だって二人で帰る予定だったのかもしれないのに、私がいたから……。



『邪魔って、告白のこと？』

｢うん……｣



やっぱりされんだ、告白。


この流れだし分かってはいたけど、なんだろう。


ほんの少しだけ胸がざわつく。



『あーべつにいいよ。そんなの気にしなくて』


｢いや！気にするっ｣


『もう断って話も終わった後だし』


｢えっ、断ったの！？｣


『うん……そうだけど？なに、そんな驚くとこ？』


｢だってすごい美人さんだったのにっ｣


『名前すら分かんない相手だし、いきなり付き合うとかにはならないよ』



ひとめぼれとかしないタイプなのか、光って。

……ホッとした。



｢じゃあじゃあ、どんな子だったらタイプってなるの？｣


『一緒にいて、ずっといたいって思える子。とか』


｢ならっ！あの子とも一緒にいてみたら、いつかはそう思えたり……｣


『いや。そう思う人もういるし、無いと思うそれは』


｢え？｣


『一緒にいたいって思えるのは、りぃちゃんひとりだけでいいよ』


｢……え、え？｣



そそ、それは一体どういう意味で……

そう聞こうとしたら



『じゃ、りぃちゃん。また明日ね』

｢えぇ"……っ！｣



家に着いてしまうとは、なんてこったい。


なんかいつもと変わらずフツーの態度だし、こんなにも意識してるの、やっぱり私だけ！？



『｢ (明日、どんな顔して会ったら……。) ｣』



このあとめちゃくちゃお互いの顔が頭から離れなくなり、寝不足になった二人の顔にはものすごーいクマができ。


翌日学校で、それぞれの友達から質問攻めされたのはいうまでもない──…

written by :*✿ひめりぃ✿*: