桜が咲いたあの日に。

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「桜〜!」
「あっ和くん!」
私と彼が出会ったあの日。その日は校舎裏の大きな気に咲く桜が満開だった。
君の笑った顔、照れた顔、全てが愛おしくて。君の顔から零れるその笑顔の中に私は、ただ、ひたすら好きになるばかり。そんな彼に私は惹かれていた自分がいた。
彼と私が出会ったのは、中学2年生だった。
昔から無口で口下手な私…鈴原 桜は、自分自身がコンプレックスだった。そんなある日、文化祭の実行委員を決めるとき、事件は起きた。1人の中心的人物が、私に「あんたには掃除がお似合い」と言われ、校舎のトイレ、あらゆる所を掃除する係を無理矢理提案されたのだ。私は、その子に言い返す言葉も出なく、その場で黙り込むか、頷くだけだった。そんな時、1人の男子が「俺もします」と声を上げた。さっきまで私の事でザワザワしていた空気が一瞬で静まり返り、彼は続けて、「1人だと、大変じゃん?確か候補者2人だったよな?俺もする」と止める言葉をスルーして提案した。
「…庇ってくれたのかな、。」
泣きそうな私を覗き込む君は、不思議そうな顔をしたあと優しく微笑んだ。
当然、彼の掃除担当を批判する人はいた。
それでも彼は、私の味方のように、庇ってくれた。

…そんな彼とは高校も同じ所へ進学していた。
「もう、無理かな。」
お互い違うクラスで、彼は相変わらず人気者でモテる。
そんな私は彼とは正反対。口下手で地味。
そんな彼は遠い存在で手が届きそうになかった。
受験勉強の事もあり、夏からは専念に勉強するようになっていた。学校生活になれると気の合う友達も出来て毎日のように勉強して遊ぶ。の繰り返しだった。
いつものように勉強していた時、家のインターホンが鳴った。ボタンを押し、返事をして玄関に向かうと見覚えのある人がいた。
…え、?この人って…
そう、彼…永江 和希くん通称和くんだった。
私は、びっくりしてそっとドアを開けると、
「よっ!桜、久しぶり!」と昔とは変わらない弾む声でそう言った。和くんは、明るくて周りに親切な性格で、高身長でスラッとした、体型。サラサラの生まれつきな茶髪からは甘い香りがする。そんな彼は、昔とは少し変わって目付きだったけれど、そこも好きな所だ。
「急にどしたの?!」と、私も声をかけると、
「んー、会いたくなった」と返事をした。私に…?!けど、あまり話したことないじゃん…と心の中でつぶやく。
「あ、それに、勉強したいのと差し入れ買ってきたんだよ」とニヤついていた。
私も丁度1人で退屈だったし、断ることも無かったから私の部屋で勉強することにした。

「あ〜!終わんねぇ!」
和くんは、勉強が苦手なんだよね…!
差し入れのお菓子と、オレンジジュースを飲み干した彼がそう言いながらベッドにダイビング。
「え!ちょ、勉強…!!」
私は、目を丸くしてそう言うと、彼は甘い声をして私の耳元で「ねぇ、桜もおいでよ」と言ってきた。
そんな可愛い顔して言われたら断れない…でも、勉強!!
結局和くんに強引にお願いされた事により勉強は却下。
大きなあくびをして私に隣にくる。
「ねぇ、桜ってさ俺とクラス離れて友達できた?」
きっと心配していたのだろう…
「うん、けどやっぱり自分の性格が出ちゃって沢山居ないかな。1人気の合う子が居るけど…ね」
「そうなんだ。そいつ男子?」
「ううん、流石に女の子だよ」
そう言うと安心した顔様な顔で、
「あー良かった。俺が居なかったらどうなってたか…って心配しててさ。他の男子に目を付けられるのも嫌だし?」
他の男子…?と疑問だったが、その瞬間和くんは真っ赤だった。それ以上彼は口を止めて何も言わなかったのだ。
そして、また勉強を再開し、何事も無かったように和くんはいつも通りだった。
彼の横顔が大人っぽく見えて見惚れて目が合ったこともあった。
それくらい、彼を好きでいた。
お互い連絡を取り合うことも増えて、前の関係に戻ることが出来た。勉強、遊びに行く時だって2人で出かけて毎日が楽しかった。

written by りず

エピソード投稿者

りず

女性 投稿エピ 1

初めまして 小説を書くことが好きな学生です! 恋愛系が多いです(--;)