拝啓 あなたへ

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私は多浪生です。
浪人時代から大学に入った夏まで、2年間付き合った多浪生の彼がいました。
彼は、浪人時代のプレッシャーと両親の圧から、うつ病を患っていました。受験期しか症状は現れず、普段はとても仲良く、いつも一緒に勉強していました。
お互い同じ年に合格し、大学は別々になりました。写真が趣味だった私は、色んな人と景色を撮り歩くようになりました。しかし、彼からの理解を得ることができず、相手のことは好きでしたが、別れることになりました。
一切の連絡手段を経ち、丸2年。
大学3年生の秋、SNSの趣味アカウントに見覚えのある名前が「知り合いかも?」に表示されました。
なんと、あの時の彼だったのです。私は、あっと驚きました。
写真という趣味を理解してもらえず別れたのに…。彼も写真を撮り始めたようで、フォロワー1万人のちょっとした有名人になっていたのです。
彼は私のアカウントに気づいたらしく、「元気?」と送ってきました。しかし私には、既に違う彼がいました。そのメッセージを見て、別れる時のほろ苦い気持ちが押し寄せてきました。
"元彼とやりとりをしたくない…!"そう思う一心で、私はメッセージを未読のまま消去したのです。

そんな出来事から、丸1年。
私が未読消去したあの日から、一切、彼の更新はなくなりました。
無事に就活を乗り越えられただろうか。
うつ病にのまれず、元気にしているだろうか。

元気であれば、お互い春からは社会人になります。

彼の、更新されないSNSを見ながら、私はいつも考えます。
"あの時返事をしていれば、彼はまだ写真を撮っていたのだろうか。"
そう、後悔してなりません。

written by ゆい

エピソード投稿者

ゆい

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