ラムネ

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これは、同じ高校に通う友人がアルバイトを始めたとのことで店に来てほしいと誘われ、彼女の働くファミレスに行った時のお話です。

学校帰りの放課後に私を含めた友人同士2人で軽食を頼んだところ、私が注文したラムネソーダだけがなかなか届かず、しびれを切らして一緒に来ていた友人が店員に確認をお願いしましたが、それでも数十分待てど飲み物は届きません。
バイトをしている方の友人は店が混み合っており接客で忙しいのか、とても声をかけられる様子ではありませんでした。
先程店員に声をかけた友人がいつまで経っても来ないことに苛立っているのか黙りこくってスマホを触るようになり、私達の中で少し雰囲気が悪くなってきた時です。

「大変お待たせしました、ラムネソーダです!」
爽やかな笑顔の男性店員さんが、ようやくソーダを持ってきてくれました。心の中でほっと胸を撫で下ろしたものの、まだまだ友人の期限は悪そうで、ピリピリとした雰囲気でした。
それに気付いていないのか店員さんがそれでは、と言ってメニューを持っていってしまいそうになった時でした。
店員さんの肘が友人のグラスに当たり、制服に水がかかってしまったのです。
「お客様、大変申し訳ありません!」
それには流石のバイトをしている友人も気が付いたらしく、慌てて拭くものを持ってきてくれました。
男性店員さんは先程の笑顔から一変し、わざわざ自分で友人の机や椅子を吹いてくれ、爽やかな横顔がとても綺麗な人でした。
水をかけられた友人は恥ずかしそうにそっぽを向いていましたが、そのおかげと言って良いのか、暗い雰囲気はそこで断ち切られました。

店を出たあと、散々な目にあったと愚痴をこぼす友人の頬に赤みがさしていたことは、彼女も気付いていないようでした。

written by さく

エピソード投稿者

さく

秘密 投稿エピ 2

動物と甘いものが好きです