彼は何を考えてるのかわからない人だった。
だけど、「駅伝に出場する」が彼の夢だった。
その話をする時はいつもキラキラしていた。
私はそんな彼が大好きだった。私の初恋だった。
その他の事は中学でも高校でも何を考えてるのか、わからないままだった。
どうにもならない恋心。
私が離れようとすると連絡が来る。
いつもいつもそうだった。
だから一生懸命追いかけた。
「好き」も何度も私から伝えていた。
それも虚しく上手く彼には伝わっていなかったのだ。
高校生でやっと聞けた「好き」という言葉。
嬉しくもあり、悲しくもあった。
あの頃私が1番彼から聞きたかった言葉。
だけどそれは彼からではなく友達から伝えられた言葉。
どうして直接気持ちを伝えてくれないの?
怖くて彼に確認することが出来なかった。
その時にはもう、自分の気持ちを信じることが出来なくなってしまっていたのだ。
そして夢を叶えるために彼は県外の大学へ行ってしまったのだ。
好きでいる自信がないのに、なかなか彼から卒業出来なかった。
こんなにもすれ違っているのになぜだろうか…?
「駅伝に出場する」事も友達伝えで聞いた。
夢を叶えた事がすごくすごく嬉しかった。
「おめでとう、頑張ってね」とだけ彼にメールを送った。
大学で私に彼が出来た。
その数年後、その彼と結婚する運びになった。
無事入籍を終え、名字が変わりました!と一斉メールを送った。
思いがけず、1通のメールが。
彼からだった。
「幸せになれよ」と一言。
この時初めて彼から、彼自身の言葉が聞けた気がした。
そして長い長い初恋がちゃんと終わったのだ。
彼は今どうしているんだろうか?
どうか、幸せでいてほしい。
written by きゃっちゃん
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